建設技術者向けNEWS

　建築デザイン向けＶＲ（仮想現実）ソフトウェアを展開する「シンメトリー・ディメンションズ」（シンメトリー社、米国デラウェア州、沼倉正吾ＣＥＯ）とＮＴＴドコモは、日本ＨＰと協力し、５Ｇ（第５世代移動通信方式）を使ってデジタルツインを実現する共同実証実験を実施することで合意した。建築・土木業界の次世代の働き方を提案する。

　サイバー空間内に現実世界を再現するデジタルツインは、現実世界をスキャンして取得する膨大な点群データが不可欠で、効率よく迅速にデータをやり取りする方法と、高スペックなワークステーション、円滑に処理する画像処理エンジンが必要になる。シンメトリー社が開発した点群データを効率よく処理する画像処理エンジンとＨＰ社の高性能ワークステーション・高解像度ヘッドマウントディスプレー、ＮＴＴドコモの５Ｇを組み合わせることで、デジタルツインを実現する。

　実験では、ドローンやレーザースキャナーで取得した大容量の点群データを５Ｇで「ドコモオープンイノベーションクラウドＴＭ」に収集してデータ処理する。実寸で現実と同じ色や 質感の構造物を立体的にＶＲとＡＲ（拡張現実）の世界に再現し、遠隔地でも現場にいるような感覚を味わえるようにする。測量技師などは、現場に行かなくてもサイバー空間上のデジタル空間で何度でも調査・測量でき、移動時間や再測量といった業務を大幅に削減できる。デジタル空間に現実の構造物があるため、遠隔地で確認できる現場の情報が飛躍的に増え、現場指揮や将来予測などにも活用できるとみている。

　将来的には、電気・ガス・上下水道などのエネルギーインフラの流れや、人の動き、電車・バスなどの交通インフラなどの情報も付加し、サイバー空間上での事故予測・故障予測もシミュレーションできるようにし、革新的な働き方の実現を検討する。