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  • 話題縦横・歩きたくなるまちなか再生/国交省が予算概算要求

    【ストック修復・改変を支援/人中心の空間へ3つの有識者会議】

     

     国土交通省は、「『居心地が良く歩きたくなるまちなか』の形成」という新たなまちづくりの方向性に沿った都市再生を始める。既存ストックを活用してまちなかに人を集め、イノベーションの創出や投資促進などを行う政策で、「コンパクト・プラス・ネットワーク」の進化形と言える。2020年度予算の概算要求に、施設の修復・改変(リノベーション)や施設整備を支援する施策を多数盛り込んだ。新たな方向性に基づく分野別の有識者会議を3つ設置した。事例集とガイドラインは7つずつの作成・改定を予定する。

     

     国交省の「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」は、コンパクト・プラス・ネットワークなど都市再生の取り組みをさらに進化させ、官民のパブリック空間をウォーカブル(歩きたくなる)な人中心の空間へ転換し、民間投資と共鳴しながら「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を形成すべきと6月に提言した。

     

     指定した区域内で一般車両の通行を禁止し、バスや路面電車などの公共交通機関と歩行者の通行だけを認める「トランジットモール化」を駅前で実施した兵庫県姫路市の取り組みが代表例となる。ビルの1階をガラス張りの店舗にリノベーションして内部を可視化するとともに、民間敷地の一部を広場化した宮崎県日南市や、道路占用によって夜間にオープンカフェを設けている北九州市における取り組みなどもこの方向性に合致する。

     

     提言を踏まえて国交省は8月に「まちなかウォーカブル推進プログラム」を作成し、概算要求に計上した新規事業など関連施策をパッケージ化した。「ウォーカブル」「アイレベル(まちに開かれた1階)」「ダイバーシティー(多様な人の、多様な用途・使い方)」「オープン(開かれた空間が心地良い)」の4つをキーワードとする。

     

     歩行者の目線に着目して街路・公園などの既存ストックを最大限活用した修復・改変を支援する「まちなかリノベーション推進事業等」、官民連携によるエリアプラットフォームの形成や未来ビジョンの策定に向けた取り組みを支援する「官民連携まちなか再生支援事業」など、3つの新規施策を盛り込んだ。スマートシティー実証調査などの4施策は拡充する。

     

     あわせて、▽ストリートデザイン懇談会▽まちなか公共空間等における芝生地の造成・管理に関する懇談会▽今後の市街地整備のあり方に関する検討会--の3つの有識者会議を立ち上げた。ストリートデザイン懇談会は年度内、その他2つの会議は年内に中間取りまとめを行う。

     

     新たなまちづくりの方向性に賛同する「ウォーカブル推進都市」には、8月末で160団体が集まった。国交省は、これらの地方公共団体をパートナーとして、引き続き政策を検討することにしており、実現に向けて必要であれば法改正なども行う姿勢だ。

     

     国交省が作成や改定を予定する事例集、ガイドラインは次のとおり。

     

    〈事例集〉

     

     ▽市街地整備と合わせてパブリック空間を整備・活用した好事例集を作成(19年度)▽低層部の充実に向けたエリア内の共通ルールに関する事例集を作成▽民間空地などの活用に対する好事例集を作成(19年度)▽占用許可などを行うワンストップ窓口の好事例集を作成(19年度)▽オフィスなどにおけるバイオフィリックデザインの事例集を作成▽大都市圏周辺や地方部における共同利用型オフィスなどの事例集を作成▽都市再生推進法人における取り組みなどの事例集を作成(19年度)。

     

    〈ガイドライン〉

     

     ▽都市とイノベーションの関係把握と指標を作成▽鉄道沿線まちづくりガイドラインを改定▽スマートシティーモデル事業などでの知見についてのガイドラインを作成▽地方公共団体など向けSIB導入に係る手引きを作成(19年度)▽芝生地の持つ可能性や整備・管理のあり方についてのガイドラインを作成(19年度)▽市民緑地認定制度活用のガイドラインを作成(19年度)▽ウォーカビリティー・インデックス(仮称)を作成(19年度)。

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    掲載日: 2019年9月19日 | presented by 建設通信新聞

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