当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 東日本大震災 熊本地震/復興係数・復興歩掛に焦点/国交省/積算基準改定調査が本格化

     2020年度から適用する土木工事・業務における積算基準の改定に向けた国土交通省の調査が本格化している。中でも焦点となるのは、東日本大震災と16年熊本地震の被災地域に適用してきた復興係数・復興歩掛の取り扱いだ。19年度末には熊本県の復旧・復興4カ年戦略、20年度末には東日本大震災の復興・創生期間が計画期限を迎えるなど復興は節目の局面を迎えている。災害に起因する施工効率の低下などに改善が見られれば、復興係数などの措置は役割を終えることから、調査結果に基づく、継続の適否に注目が集まる。

     

     国交省は積算基準などの改定に向け、施工の実態を把握する目的で8月から10月にかけて各種調査を進めている。これらの調査のうち両被災地域に適用している復興係数には諸経費動向調査、復興歩掛には被災地(東北3県、熊本県など)における歩掛調査の結果が影響することになる。

     

     復興係数については、工事量の増大に伴う資材やダンプトラックの不足により作業効率が低下し、直接工事費だけでなく間接工事費についても現場の実支出が増大したことから、運搬費などの共通仮設費と労務管理費や安全訓練費などの現場管理費を補正してきた。

     

     岩手県、宮城県、福島県の3県に対しては14年2月から共通仮設費を通常の1.5倍、現場管理費を1.2倍としてきた。17年2月から導入・適用した熊本地震における復興係数は、共通仮設費と現場管理費を当初、それぞれ1.1倍に補正。同年11月には不調・不落の発生リスクが高い状況にあった阿蘇・上益城地域を対象に、共通仮設費を通常の1.1倍から1.4倍に割り増すエリアを限定した引き上げ措置を実施している。

     

     作業効率の低下に対応した復興歩掛は、岩手県、宮城県、福島県の被災3県では日当たり標準作業量を土工で20%、コンクリート工で10%、それぞれ低減する補正を設定。熊本県には土工の日当たり標準作業量を20%低減する補正を導入している。

     

     ことし1月には熊本県の蒲島郁夫知事から復興係数の継続を求める要望が上がるなど、復興係数・復興歩掛が早期復旧・復興のための円滑な施工の確保に大きな役割を果たしてきたことは間違いない。他方、被災地におけるインフラ整備は着実に進捗している側面もある。復興係数・復興歩掛を決める調査結果の行方に注視が必要だ。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年9月20日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事