当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 関東圏域地域建設業の声/屋根修復は町職人と連携/災害対応に新たな体制必要/墜落防止対策の徹底を

     台風15号の強風により大きな被害を受けた千葉県内各地で応急復旧支援に参加した関東圏域の地域建設業界から、災害対応で新たな体制整備が必要だとの認識が急速に広がり始めている。河川や道路の応急復旧といったこれまでの支援と違い、ブルーシートによる屋根修復に作業が集中、町場の職人との連携や安全管理取り組み周知などの必要性を実感したからだ。 実際、千葉県内の災害対応の支援を行った、千葉県以外の各地の建設企業・団体は今回、2つの課題に直面した。

     

     1つ目は、国土交通省地方整備局や千葉県内各自治体からの要請を受けた県建設業協会など地域の建設業団体にとって、これまで行ってきた具体的な災害対応支援は、河川堤防の修復や道路啓開、応急道路整備など土木工事が主体。しかし今回求められたのは、屋根修復。土木を手掛ける企業が多い業界団体にとって、町場の屋根工事業の職人を探すのは難しい。

     

     2つ目は近年、厳しくなりつつある安全管理への対応だ。緊急の災害対応とはいえ、例えば「足場設置」「フルハーネス型安全帯」に対応できず事故が起きた場合の企業責任の有無だ。ただこれだけ広域的で屋根修復に焦点が当たった災害支援は初めてのケースで、建協などの業界団体と加盟企業にとって知見とノウハウは乏しかった。一部業界団体や企業トップからは、「気候変動によって今回のような災害が今後起きない保証はない。そのための新たな体制整備がわれわれには必要だ」との声も広がっている。

     

     課題の1つである安全管理関係では、千葉県内での屋根補修作業で、自宅の屋根修理などで重篤な墜落事故が多発している。業務として建設企業の従業者が屋根補修を実施した案件でも、スレートの屋根を踏み抜き、約6m落下して長期休業を余儀なくされる労働災害が発生した。

     

     厚生労働省千葉労働局によると、労働者死傷病報告(休業4日以上)から、9月25日時点で今回の屋根補修作業で3件の墜落事故が発生し、4人が被災したことを把握している。

     

     千葉労働局は、『足場の設置が困難な屋根上作業での墜落防止対策のポイント』と題したリーフレットに記載している事項を関係者に周知することによって、墜落災害防止を徹底するよう求めた。また、建設事業ではなく、ボランティア活動として屋根補修作業する場合でも「(墜落防止)対策を講じるよう」求めている。さらに、ボランティア団体などと接する場合には、リーフレットを配布して墜落防止について助言することも依頼している。

     

     仮に墜落災害が起きた際、事業として請負契約していた場合は、対策を講じていたかどうかの企業責任は問われる。被災者は労働者災害補償保険の適用を受ける。請負契約では通常の事業(工事)と同様に対策を講じなければならない。

     

     問題は、事業ではなくボランティア活動で墜落災害となった場合だ。一般論としては、労働安全衛生法(安衛法)令の適用外で、被災者の労災保険も適用されない。

     

     ただ、実態として関係機関から要請を受け、事実上、企業の業務命令・指示として被災地に行きボランティア活動をするケースがある。労働者はボランティア活動と言っても、企業の命令・指示と受け取って支援活動に当たっている。

     

     こうした場合の被災者補償などはケース・バイ・ケースになるといえる。労働基準監督署は、企業から給与や宿泊費、旅費の支払いがあるかを調べるなどして判断するとみられる。

     

     千葉県内のいまの屋根補修作業は、いわば応急復旧であり、本格的な屋根の復旧作業はこれからとなる。墜落事故が発生すると結果的に作業などの遅れにつながることから、墜落事故を防ぐためにも「墜落防止対策で疑問があれば労基署に問い合わせてほしい」(千葉労働局)と呼び掛けている。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年10月1日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事