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コルビュジエ『小さな家』/一部原寸レプリカ製作へ
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【ものつくり大技能工芸学部の藤原研究室/前・後期の特徴を再現/「豊かな空間」体感する機会】
ものつくり大学技能工芸学部(八代克彦学部長)の藤原研究室(建設学科空間デザイン研究室)は、学長プロジェクトの一環で、建築家ル・コルビュジエが設計した『小さな家』(母の家)の一部の原寸レプリカを製作する。2011年に製作した『カップ・マルタンの休憩小屋』に続く2作目で、既に製作に取りかかっており、18年度の完成を目指す。
『小さな家』は、コルビュジエが両親のためにスイス・コルソーヴェヴィ地方のレマン湖畔に設計し、1924年に完成した。塀に囲まれた敷地内に、細長い形状の家が建っており、ピロティや屋上テラス、横長の窓など「近代建築5原則」に沿ったコルビュジエ前期の特徴が濃厚に反映されている。
藤原研究室では、16年の現地調査でスケッチや寸法取りなどを実施し、既に家のスラブ打ちは完了した。原寸レプリカでは、家そのものはフレームだけにとどめ、庭の塀の一部を窓のようにくり抜いてベンチとテーブルを置いてレマン湖を望めるようにした空間を再現する。あわせて、家の中の自らの居場所として作られた小スペースも再現する考え。
この2点を再現する理由について、同研究室の藤原成曉教授は「庭のベンチとテーブルの空間は、『小さな家』の中で非常に大事なスペースと考えている。小スペースも“最小限”という考え方が強く反映されている」としている。11年に製作した『カップ・マルタンの休憩小屋』は、コルビュジエ後期の代表作『ロンシャン礼拝堂』の特徴が表れており、今回の『小さな家』の製作によって、前期と後期の特徴やつながりを理解できる原寸教材がものつくり大学にそろうことになる。
藤原教授は、学生がレプリカの建設に携わる意義について「例えば休憩小屋の場合、『こんなもの』と思うような小さい建築物だが、安い材料で小さな建築物でも豊かな空間を創造できることを表現している。なぜ小さな窓しかないのか、その小さな窓にどう光が入ってくるのか、小机の形の意味は何か。最近は自分の手を使って体験しなくてもさまざまなことを知ることができるが、実際につくって、その空間に入って窓の大きさや形、位置を身をもって体感して初めて理解できる。その空間を実際に体感できることが非常に重要だ」と語る。製作に携わる学生以外の学生にとっても、原寸のレプリカでもコルビュジエの作品に触れられる貴重な教材になる。
残り50%掲載日: 2017年12月28日 | presented by 建設通信新聞