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プロジェクト・アイ/北海道新幹線ニセコトンネル工事/施工は飛島建設JV
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>◇厳しい地山条件下で着実に掘進/冬季対策は多機能ハウスで
飛島建設らの施工による「北海道新幹線、ニセコトンネル他」工事が本格化している。水を含んでいる上に土かぶりが小さい厳しい地山条件、道内でも有数の豪雪地帯であるという気候条件を踏まえ、補助工法や大規模な多機能ハウス、IoT(モノのインターネット)を活用した安全対策など多数の工夫を導入。緊張感を持ちつつ、着実に掘進を続けている。
施工場所は北海道ニセコ町宮田~里見。NATMで延長2270メートルのトンネルを構築する。発注者は鉄道建設・運輸施設整備支援機構。飛島建設・大豊建設・齊藤建設・白木建設工業JVが施工している。工期は2022年3月10日まで。
現場では、ツインヘッダーのトンネル掘削機で掘り進めて鋼製支保工を組み立て、コンクリートを吹き付けている。その後ロックボルトを打ち込んで、地山と一体化する。掘削した土砂は、ベルトコンベヤーで坑口まで搬出している。インバートコンクリート工も並行して進めており、来春ころからは覆工作業にも入っていく。
工事で特徴的なのは地山の状況だ。砂質土主体の未固結地山で、土かぶりが平均約17メートルと小さい。全区間が地下水位よりも下に位置しているが、透水性が低い地質のため、ディープウェルによる地下水くみ上げが難しい。飛島建設JVの筒井隆規所長は「地山を触っただけで粉々になる。ボロボロのスポンジに水を吸い込ませたような砂で、想定以上に悪い山」と説明する。地山が崩れやすく、掘り進めていった際に水道ができて、切羽の一部が空洞化してしまう状況も発生した。
長尺先受工(AGF-P工法)などにより地山を改良していたが、飛島建設JVは補助工法の拡充を提案。山状況の悪化により、発注者と協議をして補助工法の拡充を採用した。当初は、上部120度の範囲で斜め前方に鋼管を打設して改良していたが、その範囲を増やした。中尺水抜きボーリングなども組み合わせることで、平均月進約40メートルというペースで順調に掘進。9月末時点で580メートルを掘り進んでいる。沈下の抑制など補助工法による定量的な効果も解析して、必要に応じた最適な施工を進めていく方向だ。
現場にはIoTを用いた入坑管理システムと重機接近警告システムも導入。作業員らに小型発信機(ビーコン)を所持してもらうことで、入坑と退坑を自動的に管理している。大型重機への接近があった際には、誰がいるのかも含めてオペレーターに警告を発信する。遠隔地から重機のコンディションを把握し、効率的な管理につなげることも視野に入れている。
これからは民家の直下の掘進なども控えている。引き続き慎重に工事を進めていく方針で、筒井所長は「事故無く確実に安全に掘っていきたい。それがすべてだ」と力を込める。
□多機能ハウスで冬季対策□
飛島建設JVは、豪雪地帯での施工という厳しい条件を踏まえた工夫も凝らしている。生産性向上に大きく寄与しているのが、トンネル坑口に設けた多機能ハウスだ。支保工など資材置き場や、掘削土砂の仮置き場を兼ねており、通常の防音ハウスよりも大きい長さ41メートル、幅30メートル、高さ13メートルという規模になっている。天井クレーンがあるため、資材積み込みや重機の修理などもできる。
残り50%掲載日: 2019年10月8日 | presented by 日刊建設工業新聞