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  • 地下鉄8号線 延伸実現に知恵/東京メトロと国・都・区、課題解決へ協議

     東京都江東区に計画がある地下鉄「東京8号線」(豊洲~住吉間)の延伸実現に向けて、国や都、区、東京地下鉄などの関係機関が協議を進めている。東京メトロの有楽町線豊洲駅と半蔵門線住吉駅を結ぶ長さ約5㎞の計画だが、実現に向けてクリアすべき課題は少なくない。江東区内の南北交通の利便性向上だけでなく、墨田区など東部の区や埼玉県南部、千葉県北西部からもその行方に視線が注がれている。

     

     7日、小池百合子東京都知事は山崎孝明江東区長と会談した。都の長期ビジョンの検討に向けた区市町長意見交換の一環で、さまざまな課題を自治体から吸い上げる狙いがある。しかし山崎区長は、「区としては8号線のことで話を進めたい。長い間の懸案事項だ。きょうはこの1点についてお願いをしたい」と切り出した。

     

    ◆事業主

     

     都と区はこれまで、延伸の実現に向けて実務レベルの協議を進めてきた。都は2018年度内に延伸に向けた事業スキームをまとめて区に示す予定だったが、さまざまな調整が難航して実現しなかった。

     

     まず大きな課題となっているのが、整備や運営を担う事業主体だ。メトロの2つの駅を接続する計画であることや、整備段階での技術的観点、既存路線を含めた運行面などを踏まえ、都としては「メトロによる整備、運行が合理的」と考えている。

     

    ◆民営化

     

     しかし、東京地下鉄は有価証券報告書で「副都心線を最後として、今後は新線建設を行わない方針」と明記している。さらに新線整備の協力を求められた場合であっても、「経営に悪影響を及ぼさない範囲内で行う」とのスタンスだ。事務レベル協議では都も区に対して、「延伸のためには(東京地下鉄の)有価証券報告書の記載を変更する必要がある」と説明している。

     

     同社が新線建設に消極的な背景には、これまでに果たしてきた一定の役割を踏まえ、完全民営化に向けて経営合理化を進める狙いがあるとみられる。現在の株主は国が5割強、都が5割弱だが、東京地下鉄は将来的に上場を含めた完全民営化を目指している。

     

    ◆補助金

     

     延伸整備に向けては、「地下高速鉄道整備事業費補助」を適用する案が有力で、建設期間は約10年を想定している。しかし、ここにも大きな壁が立ちはだかる。

     

     この地下鉄補助制度は公営・準公営の機関を対象としているため、完全民営化を目指す東京地下鉄の経営方針にはそぐわない。都の事務方は、「補助金と完全民営化との関連も含め、さまざまな課題について解決策を議論中」と区に説明した。

     

     区はさらに「(東京地下鉄が公営・準公営となるには)少なくとも51%の株式を国・都で保有する必要があるが、こうした観点での検討はしているのか」と都に詰め寄ったが、都は「そこまでの議論に至っていないのが現状」と述べるにとどまった。

     

    ◆手応え

     

     そう簡単ではない課題の解決に向けて都は現在、国土交通省や財務省、東京地下鉄などと調整協議を進めている。都は、「さまざまな意見が出され、調整している。指摘のあった諸課題を詰めているところであり、先行きがある程度見えてきたところで説明したい」との姿勢を示している。

     

     小池知事との会談で山崎区長は「知事が先頭に立って協議を進めているということで、区議会にも『話が進んでいるらしい』としっかり伝える。区議会には理解してもらいたい」と、知事との会談の手応えを語った。

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    掲載日: 2019年10月15日 | presented by 建設通信新聞

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