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  • 2018本社元旦号(3)

    ◆インタビュー・国土交通省技監 森昌文氏

     

    【全員参加型i-Con「深化の年」に/現場の実情、本音に耳傾ける】

     

     人口減少と高齢化を背景に建設産業にとって最重要課題となっている担い手の確保・育成。この難題に対応する手段として打ち出された建設現場の“生産性革命”は、建設産業の将来をどう形づくっていくことになるのか--。国土交通省の森昌文技監は、2018年を“全員参加型”のi-Constructionに踏み出す「深化の年」に位置付ける。 生産性革命「元年」としての16年から、前進の年であった17年までの2年間は「取り組みを先導する、いわばトップランナーをいかに生み出していくか。いかに後押しをしていくかということが1つの軸になっていた」と話す。

     

     実際に「これまでの取り組みは、ややもすれば、ICT建機のような機械が先導する施工がクローズアップされてきたが、(狙いは)あくまでも生産性の向上にある。担い手を確保しながら、いかに現場の生産性を高めていくことができるかということに本来の目的が集約される」とみる。

     

     それだけに「“深化の年”ということを考えれば、設計から発注、施工、検査に至るまで、一連の建設生産プロセスの中で取り組みを進めていく必要がある。“オール建設業”あるいは産業を構成する各プレーヤーの“全員参加型”の取り組みに踏み出していくことが重要だ。(行政として)そのための施策を打っていく必要がある」と見通す。

     

    ◇中小支援を強化/にじむ浸透・普及への決意

     

     「(この2年間の取り組みに対して)さまざまな意見があるということは事実」と語るように、「(地域企業を中心に)ICTの導入に要する設備投資への不安や、果たして本当に標準化されるところまで行くのかという懐疑的な声もある」

     

     「われわれが肝に銘じておかなければならないのは、全国の50万社を超す建設企業の大半は中小企業だということだ。(地域企業を中心にした)建設産業が抱えている、こうした不安を国としてどう払拭(ふっしょく)していけるか。それが深化の年である18年に課せられた最大の課題になる」とも。

     

     「現場の実情や建設企業の本音の声に耳を傾けながら、必要な施策を打っていく。特に地域企業をターゲットに取り組みやすい環境整備を進めていくことが重要になる。(国として)浸透・普及するまで取り組み続けていくという覚悟が問われている」と、先導役としての断固たる決意がにじむ。

     

    ◇積算体系に工夫/改善の気づきが将来への芽生む

     

     ICT化やデータ化という1つの流れの中で「(発注者としての)積算の方法や新技術の取り入れ方も少しずつ変わっていくことになる。特に積算体系は常に継続して改善していく必要がある」と語る。

     

     「積算は決して万能ではないが、手間をかければ、現場の工程を見える化するような“再現性”を持つ。裏を返せば、そこに意識を張り巡らせることで、現場の課題が見えてくる。改善の意識を持つことによって引き起こされる気づきが、施工の高度化や新技術の導入といった将来への芽を生み出す」という自らの思いが、そこにある。

     

     「例えば、ICT建機の導入に要するコストを十分に見てもらえていないという指摘もあるが、これまで効率化ということに力を入れてきたが故に、結果として現場での工程が見えにくい状況になってしまっているという部分もある。現場の実態を的確に反映する、そういう視点をこれからの積算体系の中に取り込んでいく」

     

    ◇発注行政の絵姿/災害復旧ガイドラインの普及へ

     

     発注行政の将来の絵姿として「地域の守り手」である地域企業向けマーケットの形成や、担い手の確保に資する入札契約方式の導入、市町村を中心とする地方自治体への支援(発注体制の補完)などを打ち出す、「今後の発注者のあり方に関する基本問題検討部会」の中間とりまとめ(案)の今後の展開にも注目が集まる。

     

     特に「自然災害からの復旧・復興を念頭に策定した『災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン』の普及が位置付けられている点は非常に大きい」

     

     「何より近年の自然災害は激甚化・集中化の様相を呈す。(省全体として)防災・減災対策に力を入れる中で、行政のカウンターパートとして主体的な役割を担っていただくのは、まさに地域の守り手である地元企業。応急復旧から復旧・復興に至る各段階で、とりわけ地元企業を中心とした発注方式の適用を推す、このガイドラインが持つ意味は大きい」と話す。

     

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    掲載日: 2018年1月1日 | presented by 建設通信新聞

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