当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 健康、知的生産性を向上/開放感でリラックス効果/屋外の光・音 室内で再現/鹿島「そと部屋」

     鹿島は、屋外の光や音などを室内に取り込んだウェルネス空間「そと部屋」を開発した。技術研究所研究棟(東京都調布市)で実証実験し、健康や知的生産性の向上効果を確認した。実験での評価を続け、自社施設などで展開した上で、オフィスや住宅、病院、学校など健康への配慮が求められる建物の新築・リニューアル、運用管理で適用を提案する考え。

     

     「そと部屋」は、建物内部に屋外のような光環境をつくり出す「スカイアピアー」と、外部の音をリアルタイムで室内に取り込む「サウンドエアコン」、緑やアクアリウム、木製家具を配置する「バイオフィリックデザイン」で構成する。

     

     スカイアピアーは、天井からつるした格子状の枠に天井に向けて光を投影して模擬天空をつくり出す。室内にいる人が天井面を見た時に、天井からつるした枠に目の焦点が合うようにすることで、天井面の色としてではなく、実際に空を見た時のような色だけを認識する空間を生み出せる。天井裏に設備を設けないため、リニューアルでも対応が容易になるメリットもある。実際の空の明るさを再現すると明るすぎるため、あえて200-300ルクス程度に抑えた。色は青空のほか、雲のある空、夕焼け空を再現できる。

     

     サウンドエアコンは、ヤマハサウンドシステムの技術協力で開発。虫や鳥の音を屋上庭園に設置したマイクで収集し、室内のスピーカーで再生する。自動車や電車、飛行機といった大きすぎる音を抑制し、虫・鳥などの音が相対的に大きくなるよう自動で制御して室内に流す。録音した音を再生するのではなく、リアルタイムの音を流すことで時間の移り変わりなどを感じる自然の屋外環境を再現し、空間の広がりを感じられる。マイクは、雨を防護しつつ、風の音を取り込まない形とした。音量は、空間に合わせ、意識しなければ聞こえない程度に調整する。

     

     バイオフィリックデザインは、グループ会社のイリア、かたばみ興業、ランドスケープデザインと協力して緑やアクアリウム、木製家具などを近景・中景・遠景にバランス良く配置した。

     

     2018年10月に実施した第1期実証実験(スカイアピアーの設置)は、被験者が80分間活動し、15分休憩を通常の会議室、そと部屋、屋上庭園の3パターンで過ごし、80分間活動するという形で実施した。その結果、そと部屋で休憩した場合、屋上庭園と同程度のリラックス効果が得られた。知的生産性は、指定された言葉から連想する言葉の数で評価した結果、そと部屋と屋上庭園で創造作業の生産性向上を確認した。

     

     第2期実証実験では、サウンドエアコンを追加し、オープンオフィスにおける活動空間としての評価も実施して効果のエビデンスを蓄積する。今後は、屋外の快適な風を室内で感じられるシステムの追加も検討する。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年10月18日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事