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現場から 大林組・大林道路/東名高速東山橋他5橋下部工耐震補強工事
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【グループ力生かし施工推進/「ハイスペックマイクロパイル工法」 採用/品質、経済性にメリット】
大林道路が施工する「東名高速道路東山橋他5橋下部工耐震補強工事(平成29年度)」の現場が最盛期を迎えようとしている。ロッキング橋脚を有する3つの橋の下部工に耐震補強としてRC巻き立て補強を施すもので、そのうちの東山橋は大林組が開発した「ハイスペックマイクロパイル工法」を活用。従来工法よりも品質や経済性などに優れた同工法を採用し、グループ力を生かした工事が進む現場を取材した。
同工事はNEXCO中日本の発注で、東名高速道路春日井IC~小牧IC間と中央自動車道小牧東IC~小牧JCT間にある東山橋、村中東高架橋、大洞橋の下部工に耐震補強を施すもの。熊本地震での被害状況を受け、同形式の橋脚を耐震補強するための工事だ。このうち、東山橋ではロッキング橋脚へのRC巻き立て補強を施すだけでなく、基礎に補強杭を設けることが求められており、その施工にハイスペックマイクロパイル工法が採用されている。
同工法は、大型重機を使用しづらい施工環境に対応した小口径杭工法で、コンパクト、軽量の機械で施工できることから狭いスペースや3.5m程度の高さ空間の場所、工事用足場の上での施工を可能としている。また、鋼管と継ぎ手に一般的な部材を採用することなどで、従来のマイクロパイル工法よりもコストを削減している。
さらに、同工法は開発当初、適用可能な鋼管径は165.2mmと190.7mmの2種類だったが、改良を進めることでコンパクトかつ軽量な機械本体で施工可能という長所を生かしたまま、従来よりも太い267.4mm鋼管でも設計・施工を可能とした。杭径を拡大することで1本当たりの補強性能が増大し、施工個所当たりの杭本数を減らすことができ、工期の短縮やさらなるコストの削減が期待できる。
同工法がNEXCO本線橋の現場で採用されたのは初めて。また、267.4mm鋼管での同工法の施工も今回が初となっている。
東山橋での採用について、同工法の開発に当たり、現場での技術支援も担当している大林組技術本部技術研究所の粕谷悠紀地盤技術研究部副主任研究員は「当初は従来型のマイクロパイル工法での施工も検討されていたが、大林道路は工期の短縮やコスト削減を図るため大林組のハイスペックマイクロパイル工法に着目して検討を重ね、3月から施工を開始した」と経緯を説明する。
同工法の19年8月までの適用実績は5現場12カ所・累積杭長1919m。このうち、改良後の実績は2現場8カ所・杭長1303mとなっている。特に土留め杭としての需要は多く、改良後の8カ所のうち6カ所を占めている。粕谷氏は「道路橋の耐震補強などに積極的に適用したい」と今後の展望を語る。
同工事で現場代理人を務める大林道路の高沢利之氏は、同工法の採用について「大林組から技術支援を受けながら施工を進め、現場にメリットのある工法だと感じている」と評価する。
また、同工事は道路規制を実施しながらの作業であることも重要なポイントだ。特に、3つの橋の中でも村中東高架橋は東名高速道路と国道41号の交差部に位置し、非常に交通量が多く渋滞が生じやすいことで有名な地点となっており、事故防止や交通の確保などに細心の注意が求められている。
高沢氏は「第三者災害に注意しながら、安全第一で工事を進めている。早期に本体施工を終わらせるという目標に向けて、今後もまい進していく」と意欲を示した。
同工事の進捗率は、9月末時点で全体の約3割程度。また、東山橋でのハイスペックマイクロパイル工法の施工は10月中に完了する予定となっている。
残り50%掲載日: 2019年10月21日 | presented by 建設通信新聞