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小規模橋梁点検にAI活用/判定結果の制度確保を検証/七尾市/インフラメンテを加速
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>石川県七尾市は、2020年度をめどにAI(人工知能)を活用した橋梁の定期点検を開始する。点検作業の効率化とともに、専門知識が求められる判定結果の精度を最先端技術によって確保・向上させられるかを検証する。建設企業、建設コンサルタントだけでなく、市町村などでも技術者(技術職員)不足が顕著となる中、全国でも先進的な取り組みを通じインフラメンテナンスをさらに加速させたい考えだ。
橋梁を含む道路の定期点検要領がことし2月に見直され、▽溝橋など特定の構造物にかかる点検の合理化(省力化)▽積極的な新技術活用による合理化--などが盛り込まれた。同市ではこれを受け、市管理橋梁のうち5m未満の橋梁について、「AI技術を活用した橋梁の劣化要因・健全度判定」を20年度から試行することとした。日本海コンサルタント(金沢市、黒木康生社長)が製作した「AIによる劣化要因・健全性判定支援システム」を活用する。
橋梁点検は専門技術者による近接目視を基本とするため、AI活用の効果検証は点検作業の省力化・合理化だけに限らず、人による点検で生じやすい見落としや判定結果のばらつきを補完できるかについても確認する。
イメージによると、橋梁の劣化個所をスマートフォンなどで撮影し、クラウドサーバーにアップロードする。その写真と諸元をもとに、AIが劣化要因と健全度を自動判定する。専門知識を必要としないため、若手技術者や未経験者でも作業に従事できる。
写真1枚当たりの判定時間は10-15秒程度。劣化要因は7分類(ASR、塩害、中性化、凍害、収縮系、豆板系、健全)、健全度は5段階(健全、軽微な損傷、予防保全、早期措置、緊急措置)で判定、度合いに応じて色分け表記される。
有資格者(専門技術者)が過去に実施した膨大な判定結果を教師データとするため、実際の専門技術者による判定結果と同程度以上の精度を確保している。専門技術者による判定結果と比べ、AI判定の整合率は劣化要因が90.8%、健全度が84.4%だった。
1つの橋梁で複数の写真を撮影する場合もAIが一括で自動診断することから、作業効率が高まるほか、劣化個所の見落としを防止できる。判定結果は点検調書に自動的に反映され、調書作成の手間が軽減される。当面は有資格者が最終的な劣化要因・健全度を判断する。点検コストは通常点検と比較し、3割程度減少するとみている。
25日には七尾市役所でデモンストレーションを兼ねた勉強会を実施。同市の杉本敦建設部次長は「橋梁点検にAIを使うことの最大の目的は判定結果のばらつきと見落としを防止すること。その上で作業効率も高まれば」とあいさつ。既に10橋で試験導入しているという。
日本海コンサルタントの安藤正幸道路事業本部長は「このシステムの特長はひび割れを見つけるだけでなく、瞬時に劣化要因と健全度を判定するところ」と説明。今後はシステム精度をさらに高め、来夏をめどに販売を開始する予定だ。
残り50%掲載日: 2019年10月28日 | presented by 建設通信新聞