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2018本社元旦号(21)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【乗り越えろ 7つの課題-(5)産業界挙げての週休2日、現場閉所-】
■メーカー/時短建材で施工者の心つかむ/取り付けやすさで訴求 コストダウン効果も期待
新築住宅着工戸数の減少や取り付け施工の担い手不足が懸念される中、建材・住設メーカー各社にリフォーム市場に活路を見い出す動きがある。そこでは、シェア拡大を狙うとともに、慣れない工事を行う施工者のために、建材を改良した“時短施工”の技術開発にしのぎを削っている。
老朽化した窓の見た目をきれいにする以外にも、断熱性や防犯性などの理由から、住宅窓の交換ニーズは高い。壁を壊すため施工期間が長くなりがちだった従来工法は、いまある窓枠に、新しい窓枠をかぶせるだけのスピーディーな施工方法に主流が移りつつある。YKKAPの「かんたんマドリモ」もその1つ。1窓当たり2時間から半日で終わるので、生活に影響なく施工できる。気密シートを防水シーリングの代わりに貼り付ける、業界初の「ノンシールカバー工法」を採用。シーリング作業がなくなったことで、これまでサッシ工が行っていた作業を大工や内装工が対応できるのも施工店にとってメリットとなる。
同じく三和シヤッター工業の「マドモアプラス」も、雨戸レールや戸袋をそのまま残し、壁を壊さず窓シャッターを取り付けることが可能。工程の省略により、時間短縮を実現する。
技術が必要な溶接工法は、施工者に敬遠されがちだ。各社は、建材の導入ハードルを下げるため、接着剤やアンカーを使った工法にも注力する。不二サッシの自然風力換気窓「ウインブレス-EX」は、無溶接アンカー工法を採用した。溶接による火災や作業員のやけど、感電の危険性がなくなったことで安全性が高まる。ねじ固定式アンカーで躯体に取り付けるため、雨天での作業が可能となるほか、作業者に特別な資格がいらず、建築現場の省力化や高い品質性能が保持できる。
時短建材をコストダウンにつなげて売り込む会社もある。大建工業の耐震天井工法「ダイケンハイブリッド天井」は、ビス固定による留め金具が必要な縦横バー材を、ワンタッチではめ込む構造にすることで短工期を実現した。特定天井向けだった従来品に加え、法規制の対象外でも低コストで一定の耐震安全性を求める設計者のニーズに応えるために、3グレードの製品を追加した。特定天井対応製品では900-1200mmだったメインバーの間隔を1800mmに統一することで、吊りボルトなどの必要部材が減り、材料費の削減になった。
施工時間の短縮は、人手不足の現場に喜ばれる。文化シヤッターが開発した「新型エア・キーパー大間迅(だいまじん)」は施工時間を従来から2時間短縮した。手元操作パネルをガイドレール部に設置して、設定と調整を簡略化したほか、制御盤をボックス内に内蔵するため配管配線が不要になることで実現した。また、業界初の耐震性能を備えた集合住宅向け屋外用玄関引戸「ヴァリフェイスAe」は、将来のドアリフォームにも対応。交換可能なドア枠になっており、改修時には扉とドア枠を取り換えるだけで素早くリフォームできる。
リフォームに長い歴史があるTOTOは、施工しやすい建材づくりのノウハウも豊富だ。技術は各地のリフォーム店によってばらつきがある。同社では「TOTOリモデルクラブ」の加盟店に施工技術の研修を行い、全体のレベルの底上げを図っている。
一度に大量の製品を設置する公共・商業施設向けのこうした工法や建材は、低コスト・短時間で施工できるため、職人を抱える地域施工店にとっても採用メリットが大きい。「パブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式」は、従来のタンク式とフラッシュバルブ式の長所を兼ね備えたフラッシュタンク式を採用した製品で、接続部分のユニット化によって省施工を実現している。
給水接続では、フラッシュバルブ式は、ばらばらの部品から本体を現場で組み立てる必要があった。外径34mmの曲げられないハード管で接続するためにミリ単位での高い施工精度が必要となる。それがフラッシュタンク式では、タンクを便器にセットしてから、曲げ自由度がある外径22mmのフレキホースで接続するだけなので、熟練度もいらず、施工時間はフラッシュバルブ式の約半分で済む。
一方、排水接続では可動式排水スリップイン方式を採用。シール材を使わずに、大便器排水口を排水ソケットに差し込むだけで簡単・確実に施工できる。また、配管とポンプをサイズダウンしたことで、建物の省資源化にも貢献する。
昨年2月に販売開始した「壁掛大便器セット・フラッシュタンク式」モデルでは、省施工とともに、優れた清掃性やメンテナンス性を全面に打ち出し、オフィス、学校、病院などに積極展開する。
YKKAPの「かんたんマドリモ」。1窓あたりの作業時間が短いため、暮らしながら施工できる点が好評だ
残り50%掲載日: 2018年1月1日 | presented by 建設通信新聞