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台風19号被害 本復旧、生活再建に移行/国土強靱化の強化求める声も
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>堤防決壊個所の仮堤防設置など台風19号で被害を受けた個所の応急復旧は完了に向かいつつあり、国や被災自治体の対応は本復旧や被災者の生活再建へと移ってきている。政府は一連の台風災害に関して被災者の生活や生業の再建に向けた対策パッケージを近く取りまとめる方針で、補正予算の編成を視野に入れる。河川を中心に甚大な被害が生じたことを受け、与党や地方自治体からは中長期的な対応として、国土強靱化施策の強化を求める声も高まっている。
国土交通省が5日午前8時時点でまとめた台風19号の対応によると、都道府県管理河川で堤防が決壊した128カ所のうち、125カ所で仮堤防が完成した。残り3カ所のうち1カ所は権限代行で国交省が応急復旧を実施している福島県管理河川の阿武隈川で、8日を目標に仮堤防の整備を進めている。2カ所は、宮城県が管理する斎川と高倉川で、仮堤防完成にはまだ数日かかる見込み。国管理河川で堤防が決壊した7河川12カ所は10月20日に仮堤防の整備を終えており、堤防決壊個所の応急復旧は完了の見通しが立った。
国交省は「災害復旧からその後の本格的な復旧や生業、生活の再建にフェーズが変わってきている」(水管理・国土保全局防災課)として、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の派遣人数を徐々に縮小させる一方、被災自治体の情報収集や支援ニーズの把握を行うリエゾンの人数を増やしている。
政府は廃棄物・がれき・土砂の処理、中小企業、農業、観光などに関する対策パッケージを今週中にも取りまとめる。これらの対応には2019年度予算で確保している予備費の5000億円をまず活用し、必要に応じて補正予算を編成する方針だ。
国土強靱化のあり方にも目が向けられている。10月31日に開かれた「国と地方の協議の場」で、全国知事会など地方6団体は防災・減災対策の推進と強靱な国土づくりを政府に要望。国土強靱化と防災・減災対策を加速するための財源確保、ハード・ソフトの両面で事前の予防対策から復旧・復興までを見据えた自由度の高い施設整備交付金の創設、治水対策と土砂災害対策の抜本的強化などを求めた。
自民党の国土強靱化推進本部は1日、国土強靱化施策の充実を求める決議文を政府に提出した。受け取った安倍晋三首相は「国土強靱化は待ったなしの課題。今回の台風で生じた課題を踏まえ、治水対策など国土強靱化をさらにパワーアップして進める」と強調。
事業規模7兆円程度で20年度までを期間とする「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」にも触れ、「3カ年緊急対策が完了した後は、国家百年の大計として予算をしっかり確保して取り組んでいく」と述べた。建設業界や地方自治体からは予算の別枠計上による国土強靱化施策の継続を求める声が強く、安倍首相の発言は21年度以降も相当の予算を充てて強力に推進する方向性を明確に示した格好だ。
菅義偉内閣官房長官も10月28日の記者会見で「防災・減災、国土強靱化のためのハード・ソフト両面での対策を3年間、集中的に実施している。今回の台風で水害対策など追加的な課題は明らかになってきている。そうしたことを検証し、早急に対策を講じていく必要がある」と話しており、今後具体的な検証作業が進むとみられる。
残り50%掲載日: 2019年11月7日 | presented by 建設通信新聞