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話題の技術/NTTドコモら/遠隔地で建設現場を3D再現
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>NTTドコモとソフトウエア開発を手掛ける米シンメトリー・ディメンションズ(沼倉正吾最高経営責任者〈CEO〉)は、サイバー空間に現実の建設現場を3Dで再現する技術の実用化を目指している。オフィスにいながら調査や測量などの現場作業ができ、熟練工の技能伝承も可能にする。将来的には電気やガスなどあらゆるインフラ情報も取り込み、人工知能(AI)を活用した劣化予測も見据える。
両社が協業するきっかけは、幅広い業種の企業と第5世代通信規格(5G)を使った新たな事業創出を目指す「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」。2018年2月にNTTドコモが開始し、シンメトリーはパートナーの1社だった。
シンメトリーは15年から建設業界向けの仮想空間技術「XR」の開発を続けていた。その中で、これから建設する建物がどういう構造で、どういう材料が必要なのかなどを、3Dでシミュレーションしたいという顧客のニーズが増加。システム開発に注力してきた。
実証実験ではシンメトリーが開発した点群データの画像処理エンジンとNTTドコモの5Gサービス、日本HP(東京都江東区、岡隆史社長)の業務用パソコンなども使っている。
実験の流れは、ドローン(小型無人機)やレーザースキャナー(LS)で取得した大容量の点群データを5Gを通じてクラウドサーバーにアップロード。画像化したデータはパソコンにダウンロードできる。今までよりも高速で、パソコンの性能を問わずに高精細なデータをやりとりできる形にする。年度内の実験完了を目指している。
建設業界では、現場での熟練工の減少と人手不足の問題が深刻化しつつある。この問題に対処するため「現場に行かずともオフィスの中で現場のことができるようにすることを目標にしている」と、NTTドコモの小室克久法人サービス本部ソリューションサービス部フロントSE・第三担当課長は話す。
遠隔のオフィスで建設現場の仕事をこなすには、現場の3D映像を今まで以上にスムーズに通信する必要がある。データの高速・大容量が可能な5Gが不可欠だ。
熟練工の減少を考慮した技能の伝承は、熟練の職人が施工している現場を長期間にわたり撮影。経験の浅い職人が着工から完成までの3D化した現場を見たり、人の動きを見たりして学ぶ。加えて、施工の際の注意点を表示することも可能という。こちらも5Gの活用が求められている。シンメトリーの沼倉CEOは「サイバー空間の中で実際の現場や人の動きを記録していくのは技能の伝承という点から今後活用が活発になっていくだろう」と見ている。
ただビジネス面では課題が残る。NTTドコモの桑原冬美法人ビジネス本部第二法人営業部グローバルビジネス推進営業担当課長は「どういうビジネスモデルになるのかはまだはっきりしない部分が多い。大量のデータが飛んだときにどういう課金体系になるのか、サービスが始まる前に考えないといけない」としている。
今後は水道、ガス、電気などのインフラ情報も取り込み、AIを使ったインフラの故障や劣化予測などの実現も目指す。加えて今は人が直接行っている現場でのデータ取得作業の無人化も視野に入れている。「当社のパートナー企業が持つロボットの技術などを活用し、より現場に行かなくてもいいような状況になるよう検討したい」と小室課長。NTTドコモはパートナーと協業による建設現場の省力化と省人化で新たなビジネスモデルの構築を目指す。
残り50%掲載日: 2019年11月18日 | presented by 日刊建設工業新聞