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連載・未来を紡ぐ-これからの地域建設業/青森県建設業協会会長 鹿内雄二氏
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【積雪寒冷地こそ適正工期と平準化/引き抜きが心配 キャリアアップ】
産業別の県内総生産および雇用者数がともに5番目と、文字どおり地域の“基幹産業”として、地域経済において大きな役割を果たしている建設産業だが、業界を取り巻く環境は厳しい。その大きな課題の1つが担い手の確保だ。2001年度に7万6000人を数えた就業者数は、16年度には4万9000人と36%減少し、高齢化率も高まっている。
こうした中、協会では若手技術者をピックアップしたPR動画の製作や親子見学会、工業高校生との意見交換会、インターンシップの受け入れなど、各支部を含めて積極的な活動を展開。これらの取り組みが奏功し、会員企業における直近3年間の採用者数はわずかながら増加傾向にあるという。
担い手確保の一環ともなる働き方改革では、発注者と連携して土曜日の一斉閉所を年3回実施。青森県建設業協会の鹿内雄二会長は「(土曜一斉閉所は)比較的好評であり、一気に拡大という雰囲気には至っていないが動機付けとしては良いと思う」と話す。ただし、「(担い手確保のため)週休2日が必要だとは思うが、工期延長による経費の増加や日給月給の作業員の問題もある」ことから「日本の活力や競争力を維持する上でも4週6休にとどめるべきではないか」とも指摘する。
建設キャリアアップシステムについては「企業と技能者双方にメリットがあると言われているが、県内の技能者なら顔も能力も分かっているため、地域建設業にとって具体的なメリットが見えてこない。むしろ優秀な技能者が引き抜かれないか非常に心配だ」とシステムの運用に一石を投じる。
企業経営上の課題として掲げるのは建設投資額の減少と地域間格差だ。01年に9800億円あった県内の建設投資額は、17年には5500億円で44%の大幅な減少となった。一方で、同じ東北でも東日本大震災で被災した太平洋側3県は復旧・復興事業費が増大しただけに「震災関係が多ければ通常の工事量を減らして工事量の少ない地域に振るべきだ」と強調する。
さらに、青森県内でも三八支部管内で発注量が多く、中弘・南黒支部管内で少ないといった格差が生じていることを踏まえ「特に国と県には地域バランスを考慮して発注してほしい」と訴える。
地域の建設業としてこれまで災害対応や除雪などに使命感を持って取り組んできたが、今後も変わらずに社会の要請に応え続けていくためには最前線で働く職員のモチベーション向上も重要となる。
そのためにも「隙間なく人・モノ・金を稼働させ、雪が降る前に工事を終わらせて除雪に注力し、気候の良い4、5月から工事に入れることが理想的。積雪寒冷地の本県においては特に重要だ」とし、適正な工期設定および施工時期の平準化の必要性を訴える。これに加えて「提出書類の簡素化」による業務の負荷低減を図ることで、より良い職場環境づくりに取り組む考えだ。
残り50%掲載日: 2019年11月20日 | presented by 建設通信新聞