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  • 建設業はいまNo.2/働き方 中小元請に影響大/自治体に適正工期の強制を

     今後の日本経済が成長を託すかぎでもある「働き方改革」を前にして立ちすくんでいるのが、中小の元請企業だ。支持する安倍政権が改革を打ち出し、時間外労働の上限規制では経済界と労働組合が歴史的合意を果たした。そもそも成長戦略で、働き方改革と生産性向上は連動する取り組み。だから、「働き方改革は中小元請けにとって痛手。でも無視はできない」という本音がいま、全国各地に広がっている。

     

     中小元請企業の経営者が、週休2日など働き方改革を進めることで危惧(きぐ)しているのは、「年間の労働日数が減ることで、(現場の技能労働者の)収入が目減りすることは確実。(労働者への支払い)単価をかなり上げないと、人も確保できない」という、現場コスト上昇に伴う収益悪化と生産供給力減少の可能性だ。

     

     中小元請けの危惧はもう1つある。

     

     週休2日モデル現場でも、「工期は延ばしてもらっている。だから現場作業はストップし作業員は休めている。でも(元請け技術者の)職員は土曜日も、下手したら日曜日も出勤している」ことが中小の現場で常態化している。

     

     結果的に、2017年10月から11月にかけて全国各地で開かれた、全国中小建設業協会と国土交通省各地方整備局や自治体との意見交換会でも、「働き方改革によって、技能者だけ待遇が良くなって、中小元請けの職員は疲弊(へい)してしまうことになりかねない」と不安の声が相次いだ。

     

     全国各地の中小元請けが、政策として異論を唱えることは難しく、国策となった「働き方改革」浸透に伴う影響に強い警戒感を隠さないのは、「われわれの主要取り引き先は、大手企業のような国交省や道路会社、民間でも経団連に加盟する有名企業じゃない。市町村であり、市町村の民間企業だ。国が(働き方改革を)求めていると説明しても 理解してくれるわけがない」という今後の見立てが多いからだ。

     

     では、中小元請け経営者の多くはなぜ、後ろ向きの考え方に固まるのか。

     

     14年春。大手・準大手から中小・零細の元請け、下請け問わず、建設産業界が一体となって歓迎した出来事が、公共工事品質確保促進法(品確法)を筆頭にした、いわゆる担い手3法改正だった。すべての公共発注者を対象に、予定価格の適正な設定や設計変更の円滑実施を求めた。

     

     ただ業界の期待とは裏腹に、あれから3年以上が経過したいまでも「設計変更ガイドラインはもとより、改正品確法の話をしても、内容を知らない自治体の発注者はごまんといる」という。そのため中小元請け経営者の間にはこんな強硬論まで飛び出す。

     

     「働き方改革を中小まで求めるなら、工期設定ガイドラインなどを全自治体に強制的に義務付けるべきだ。疲弊するのが分かっていながら黙って見過ごすわけにはいかない」

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    掲載日: 2018年1月9日 | presented by 建設通信新聞

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