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  • NEDO、竹中工務店、中央大学/土砂搬送可能なぜん動ポンプ/大深度などの掘削に適用

     新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、竹中工務店、中央大学と共同で土砂の搬送が可能なぜん動ポンプを開発、実際の現場での運用を見据えた試験機を完成させた。流動性の低い土砂の搬送に適用できるぜん動ポンプの開発は世界で初めて。将来的に大深度・海底や月面など極限環境での掘削・運搬作業への適用が期待されるという。

     

     効率的な土地利用が求められる大都市圏は、建物の地下が深くなることから、掘削工事に全体の工期が大きく左右される。建設現場の働き方改革が叫ばれる中で、生産性の向上を目的により効率的に掘削物(掘削土砂)を搬送できる装置の開発が喫緊の課題になっている。

     

     実際に大深度の掘削工事はクラムシェルやテルハと呼ばれる大型重機が使われているが、その重量を支える広く強固な作業台が必要となることに加えて、ワイヤの長さにより、搬送深さの最大が70m程度と限界があった。

     

     これらの重機が地上での運用を前提にしていることから海底や真空中の月面など極限環境で掘削物の搬送を行うことが困難である点に着目。3者共同で腸のぜん動運動を機械的に模倣したぜん動ポンプの研究開発を進めていた。

     

     新たに開発したぜん動ポンプは、複数のポンプ単体ユニットを連結することで構成。単体ユニットは外側の人工筋肉と内側のゴムチューブがフランジで接合され、この両者の間に空気チャンバーが形成される構造になっている。

     

     チャンバーに外部から空気圧を加えることで、人工筋肉が半径方向の外側に膨張、軸方向に収縮するのと同時にゴムチューブが内側に膨張して管路を閉塞。この人工筋肉とゴムチューブの動きによって、腸のぜん動運動を再現する仕組みとなる。

     

     従来のぜん動ポンプが流動性の高い液体・粘体やスラリー(液体と固体粒子との懸濁液)への適用を主体としてきたのに対して、土砂の性状・含水費比・搬送特性の関係を分析して、新たにゴムチューブの形状の工夫や含水比を調整できる機構を設けることで、土砂の搬送が可能なぜん動ポンプを完成させた。

     

     今後、2020年6月末までを期間に搬送効率に対するスケール効果の検証や制御の最適化といった技術課題を解決するための実験を実施。将来的に大深度・海底や月面などの極限環境での掘削作業が可能な土砂搬送デバイスの実用化を目指す。

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    掲載日: 2019年12月10日 | presented by 建設通信新聞

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