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  • 自然感じる空間創出/すり鉢状の座席で臨場感/国立競技場竣工

    【スポーツと文化を発信】

     

     新たな国立競技場は、「杜(もり)のスタジアム」をコンセプトに、軒庇(ひさし)には47都道府県の国産材を使うなど木材をふんだんに使ったほか、自然の風が流れ込む工夫も施し、自然の中にいるような空間を創出した。規模は、S一部SRC・RC造地下2階地上5階建て延べ約19万2000㎡。2016年12月の着工から約36カ月の工期で、11月30日に完成した。整備費は約1569億円。

     

     15日の竣工式で安倍晋三首相は「オールジャパンで協力した結果、竣工を迎えられた。改めて関係した皆さんに敬意を表したい」と謝辞を述べた。

     

     日本スポーツ振興センター(JSC)の大東和美理事長は「アスリートファースト、世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境などとの調和や日本らしさをコンセプトに整備を進めてきた。まさにそのコンセプトが随所に生きたスタジアムとなった」と強調した。

     

     萩生田光一文部科学相は「今後のわが国スポーツ界にとって象徴的な施設となる」と期待を込めた。

     

     橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当相は「関係者すべての皆さんが一つひとつ丁寧な作業を積み重ねてきた結果、素晴らしい競技場が完成した。木材がふんだんに使われ暖かみの感じるこの施設は、選手・観客のどちらの目線から見ても世界に誇るべき競技場だ」と述べた。

     

     小池百合子東京都知事は「この場所はいざというときに避難拠点ともなる。防災関係の備蓄などができるスペースを確保してもらった」と災害対策についても言及した。

     

     東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の遠藤利明会長代行は「短い工期の中での建設だった。隈研吾建築都市設計事務所や大成建設、梓設計、全国から暑い中でも工事現場で働いてくれた皆さんとその家族の苦労を考えると、改めて感謝の気持ちしかない」と工事関係者らの労をねぎらった。

     

     大成建設の山内隆司会長は「旧国立競技場に引き続き大成建設が(施工を)担当した。新時代のスポーツと文化を発信するスタジアムとして、利用者に愛される施設になると確信している」と喜びを語った。

     

     このほか、赤羽一嘉国土交通相、梓設計の杉谷文彦社長、隈研吾建築都市設計事務所の隈研吾代表が加わったスイッチセレモニーでは、登壇者10人がスイッチを押すと、大型スクリーンに「HELLO,OUR STADIUM・国立競技場」の文字が浮かび上がった。

     

     競技場は座席にこだわった。5色の座席をランダムに設置し、木漏れ日に見立てた。座席の配置では、スタンドの1層目を20度、2層目を29度、3層目を34度と、すり鉢状の勾配をつけることで、フィールドとの距離感を感じさせない臨場感あるつくりとなるよう工夫した。

     

     このほかユニバーサルデザインを積極的に取り入れた。車いすの座席数は、オリンピック時が全6万席のうち500席、パラリンピック時が全5万8000席のうち750席を設ける。設計や施工の段階で約20回に及ぶワークショップを開き、障がい者らの意見を建物に取り入れ、手すりや点字の位置などを決めた。

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    掲載日: 2019年12月17日 | presented by 建設通信新聞

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