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建設業はいまNo.4
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【職人の囲い込みで品質を確保/コストアップもやむなし】
2017年夏。あるゼネコン関西駐在役員は、協力企業組織に加盟する仕上げ系専門工事業の経営者にこう切り出した。
「来年(18年)、当社は関西での仕事を徹底的に絞り込むから、ここで当社の仕事はない。ただその分、首都圏に仕事はある。東京で仕事をしてくれないか」
このゼネコンの関西地区の専門工事業に対する打診は、首都圏で仕上げ工事が急増しているから、仕事量が減少する地区から応援してほしいというこれまでのような単純な構図ではない。ひも解くキーワードは、「品質」と「囲い込み」の2つだ。
関西駐在役員の専門工事業経営者に対する発言には続きがある。「もっと当社の仕事を受けてくれないか」。打診を受けた専門工事業は、全国ゼネコンだけでなく、地元大手から地元中小までを含め取り引きする元請数は「過去の経験からリスク分散のためにも広げている」(専門工事業トップ)と多くなっている。そのため、この専門工事業経営者は「(打診した元請けへ)専属割合をもっと高める判断ができないか」という元請けの本音を感じ取っていた。
関西地区の専門工事業に首都圏工事の作業を打診したゼネコントップは、「首都圏で専門工事業と職人が足りないことが理由ではない」と前置きした上で、「問題は、どれだけ仕事量が多くなっても、きちんと品質を確保できるかどうかということ。品質確保について信頼できる協力企業と職人にこれまで以上に当社の仕事をしてほしいと思うのは当然だ」と話す。一方、打診を受けた仕上げ系専門工事業経営者は、悩んだ末に断った。「規模の大きな全国ゼネコンから評価され、声をかけてもらったことは光栄。ただ、なんだかんだ言ってもわれわれは地元企業だ。同じ地元で発注者にもなる他産業の地元企業や、地元元請けといった地元企業同士のつながりが、安定経営になる」からだ。
実はいま、「働き方改革」と「生産性向上」に取り組む過程で、元請けと専門工事業の経営者の意識が大きく変わりつつある。
その結果として、元請・下請関係は今後さらに変わる可能性も高い。大手・準大手を筆頭にした全国ゼネコン各社が、「国内の建設生産システム能力を現状程度維持するには、供給網強化と生産性向上しかなく、そのためにコストアップもやむなし」との判断で一致しているからだ。
その先駆けとなったのが、鹿島子会社が16年6月に設立した専門工事会社だった。中長期の供給力維持を目的にした同社は、建設現場にも重くのしかかる「働き方改革」と「生産性向上」でも新たな対応シナリオを明確に示し始めた。残り50%掲載日: 2018年1月11日 | presented by 建設通信新聞