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連載・2020年業界を読む・中/二極の狭間に埋没の危機感/得意技術で先頭を走り続ける
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>二極化で大手・準大手ゼネコンがより川上側に歩み始めている。対極に位置するのは、特定の地域に活動領域を限定した地方ゼネコンであり、全国ゼネコンに負けない設計・施工力を獲得しようとする企業は少なくない。その狭間となるのが、準大手ゼネコンの一部と中堅ゼネコンだ。ある中堅ゼネコントップは「現在の規模のままでは二極の狭間に埋没しかねない」と強い危機感をあらわにする。
埋没しないためには、より規模を拡大して大手ゼネコン側に寄るか、セグメントを絞って強化するかという選択肢が突きつけられる。鉄建建設の伊藤泰司社長が「鉄道関係のコアになる技術を失ったら生きていけない」と語るように、もともと得意な技術を保有する企業にとっては、その技術が命綱となる。
得意技術を武器に競争の少ない環境を守り続けるためには、「土木、地盤改良、ブロックの3事業体制をしっかり成長させる基本姿勢は変えず、技術開発で常に先頭を走り、最新の設備を維持して前に進む必要がある」(奥田眞也不動テトラ社長)。追われる立場としての難しさはあるものの、歩むべき道がはっきりしているという点では、大きな強みとなる。「土木のニューマチックケーソンとシールドの2本柱はまだ色あせていない。これを軸に肉付けしていく」(大隅健一大豊建設社長)、「得意とする面整備を生かしてメガソーラー発電所の造成工事など収益を確保できる体制に切り替えている」(朝倉健夫日本国土開発社長)というように、得意技術という核があるからこそ、その技術の適用範囲や事業領域、対象地域を肉付けすることで、企業としての幅の広がりにつながっていく。
特定技術を独自色として確固たる地位の獲得を目指す準大手ゼネコンもいる。熊谷組の櫻野泰則社長は「スーパーゼネコンの領域が大きくなる中で、色をどう出すか」という危機意識のもと示した方向性が住友林業との業務提携だったと説明する。「業務提携効果を取り入れながら、『熊谷組は、木の部分に特化している』と言われるような体制を早く築きたい」と、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・組織)投資が拡大する中で注目される木質化技術に活路を見いだす。
技術だけでなく、協力会社との関係も大きな強みになり得る。佐藤工業の宮本雅文社長は「協力会社との絆を持った技術者がいることが強み」とし、「技能者とコミュニケーションを取りながらしっかり仕事を進められれば、評価を受ける。そうして多くのファンをつくって生き残る」と力を込める。協力会が筆頭株主となっている若築建設の五百蔵良平社長も「築友会からも民間プロジェクトを含めた営業情報が入る。早めに情報が得られるので、(生産性や働き方改革が実現できるよう)顧客に提案できる」という。
大手、準大手、中堅を問わず各社が自らの歩む道を定め始めたいま、協力会社に対しても従来どおりではない、新しい形を求めるゼネコンが増えてきている。
残り50%掲載日: 2020年1月8日 | presented by 建設通信新聞