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連載・2020年業界を読む/建築設計/持続的発展へ“次の一手”/BIM活用 一気に加速も
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>2020年東京オリンピック・パラリンピック関連施設や都市部での再開発、インバウンド(訪日外国人客)需要などを背景に、大手建築設計事務所の業績はおおむね堅調に推移している。「五輪以降、急激に需要が落ち込むことはない」というのが、大手事務所トップのほぼ共通した見方だが、人口減少・少子高齢化を背景とした市場の縮小に備え、 各事務所はBIMを軸とした生産性向上や、より上流段階からのプロジェクト参入など、持続的発展に向けた“次の一手”を打ち出し始めている。
働き方改革の原資となる生産性向上のかぎとしてBIMの活用促進を位置付ける大手事務所は多い。大手事務所の中では、安井建築設計事務所が19年4月に「BIMの可能性を追求するタスクフォース」を設置。梓設計は同年8月から「すべてBIMでやる」体制を始動させた。石本建築事務所は20年度からの次期中期経営計画で「BIMの加速」を鮮明に打ち出す方向で検討を進めており、4月にはBIM専門組織を設置する予定だ。日建設計は、20年末までに特殊なケースを除いた設計プロジェクトで基本設計一般図レベルをBIM化するという目標を掲げる。
19年6月には国土交通省が「建築BIM推進会議」の初会合を開き、建築分野での生産性向上を図るため、官民一体となった具体的検討が始まった。会議は3月に検討成果をまとめ、BIM推進方策についての一定の方向性が示される。BIMの活用については大手事務所の中でも、積極派と慎重派が混在しているが、会議の検討成果を踏まえ、各事務所での取り組みが一気に加速する可能性もある。
「今後、日本に長期的な建設投資が出てくるかはっきりしない」「ポスト五輪の受注環境は、ずっと水平飛行かと言えばそうではなく、下降局面があるかもしれない」。長期・安定的な国内需要に不安を抱えるトップも少なくない中、より上流段階からのプロジェクト参入、海外事業に注力する動きも活発化している。
中でもPM・CM業務は大手事務所のトップが伸びしろに期待を寄せる有望市場の1つだ。外資系ホテルでのPM業務に傾注する動きや、多様な発注方式への切り込みに意欲を示すトップも少なくない。
一方、海外事業については、具体的な数値目標を立てて攻勢をかける動きもある。国内での実績を生かし、需要の増大が見込まれるアジア地域でのさらなる案件獲得に意欲を見せる大手事務所も多い。
上流段階からの事業参入、海外事業の強化に共通するキーワードは、「マネジメント能力」だ。「プロジェクトをまとめていく力が評価される時代になる」。あるトップがこう語るように、国内外での競争を勝ち抜いていくためには企業とともに従業員のマネジメント能力向上が求められる。デジタル化の進展や人口減少・少子高齢化など建築設計界を取り巻く環境が大きく変わろうとしている中で、多様化するニーズに対応し、持続的発展に向けたビジネススタイルをいかに構築できるか。「選ばれ続ける会社」の礎づくりに向け、トップの手腕が試されている。
(岡部敦己)
残り50%掲載日: 2020年1月10日 | presented by 建設通信新聞