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  • 公共事業費確保/企業の施工余力十分/不調・不落例年並み今後の執行状況を注視

     消費税率引き上げや防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策に対応するための「臨時・特別の措置」が2020年度で終了することを見据え、早くもその執行状況や建設業界の施工余力を注視する動きが出てきた。足元のデータでは執行に問題はみられないものの、「自治体も含めて早期に予算を消化し、臨時・特別の措置の終了で景気に“崖”が生まれかねない状況にならないと今後の予算増額は望めない」(国土交通省幹部)との見方もあり、今後の円滑な執行が21年度以降の公共事業関係費の行方を左右する。

     

     19年11月の自民党・国土交通部会に報告された国交省関係予算の契約率(9月末時点)は18年度補正予算分が81%、19年度当初予算分が70%と進捗に大きな問題はみられなかった。台風19号の発生などにより一時、不調・不落が増加したもの、応急復旧工事に限定しない見積もりの積極的活用や見積単価の事前公表、総合評価における技術者要件の緩和といった複数の施策で沈静化を図った。

     

     業界側の施工余力はどうか。国交省がまとめた2019年4-9月の公共土木における不調・不落の発生率をみると、直轄工事(関東、中国、沖縄、維持修繕除く)が9.4%(18年度は10.2%)、都道府県工事が8.2%(同7.1%)。いずれも例年と比べて乖離(かいり)する状況にはない。同省が毎月発表している建設業の手持ち工事高、技能者の過不足率の推移にも変調はみられない。

     

     公共工事の応札状況の分析結果では、大規模工事に比べ利益の出にくい1億円未満の小規模工事の約7割でも3者以上が入札参加していることからも、施工余力はまだあることが分かる。

     

     また、国交省が実施した地域建設企業へのヒアリングからも、施工余力について肯定的な意見が多かった。「公共工事は過去5年で最高水準にあるが、施工余力は一部地域を除いて問題ない」(鹿児島県)、「人手は全体的に不足感はなく、現場の執行体制に問題はみられない」(宮城県)などの意見が上がった。

     

     一方で、一部では“偏り”を問題視する意見もあった。例えば、富山県では「県全体ではかなりの仕事量だが、地域間格差があり、仕事が少ない声も聞かれる」と、地域によっては余力というよりむしろ不足感があると指摘。地域性だけでなく、「採算性の悪い工事が多々ある。適正な設計のもとで発注されれば、十分に受注余力はある」(島根県)といった工事の効率化や安全対策の費用などの面から工事の大ロット化を望む声も多い。

     

     全国的に見れば施工余力があり、適切に入札されている状況にあるものの、工事の種類や規模に対する課題も見える。当然ながら、ことしも新たな災害が発生しないという保証はない状況で、臨時・特別の措置に基づく事業を早期に完了させるため、官民ともに積極的な対策が求められる。

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    掲載日: 2020年1月14日 | presented by 建設通信新聞

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