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  • 連載・業界を読む/建材/防災中心に多角化志向/次なる成長領域を模索

     国内の新築住宅着工戸数減少は、建材メーカーの業績にまだ大きな影響を与えるほどではないものの、各社は今後の需要減に備えて事業領域の多角化を企図している。ただ「次の一手」をどこに打つかについては、各社の戦略が分かれる。

     

     TOTOの喜多村円社長は「リフォームの困りごとを相談できる窓口『あんしんリモデル』が好評であり、5-10年かけて定着を狙う」と、以前から取り組んでいた住宅のリフォーム需要掘り起こしを中長期的に継続する。

     

     旭化成建材の堺正光社長は、住宅のリフォームについて「戸数は減っても、顧客が求める断熱性能が高まっていて、断熱改修などで売り上げは伸びる余地がある」と分析する。断熱は冷暖房費の削減による省エネや、ヒートショック防止などの健康につながっており、底堅い需要を示している。

     

     昨年初めと比べ、既存住宅リフォームの中では台風対策の需要が存在感を増した。特に昨年の大型台風では、窓ガラスが飛来物で破損し、その部分から強風が屋内に吹き込んで屋根を押し上げ飛ばしてしまう事故が目立った。これを受け、日本金属屋根協会は防風をテーマとする冊子『風と金属屋根-第三版』を制作し、元旦ビューティ工業など耐風性を高めた金属屋根を展開する動きがある。また、従来は防犯が主目的だった窓シャッターが、窓を守る建材としても注目を集めている。

     

     建材による台風対策は、非住宅分野でも需要が見込まれ始めた。 文化シヤッターは、「防水シャッター・防水ドアなど止水商品の開発に注力する」 (潮崎敏彦社長)として、 地下街、ビル、工場、倉庫、 駐車場など多様な施設向けに展開する。

     

     そのほか、LIXILグループの瀬戸欣哉社長兼CEO(最高経営責任者)は 「災害が起きた後、 修理の需要に迅速に対応できる体制構築も重要」 とし、プラットフォーム生産を推進する目的の1つに防災を挙げた。災害は、商品開発だけでなく生産体制にも影響を与えている。

     

     防災以外の領域にも「次の一手」を打つ動きがある。YKKAPの堀秀充社長は、窓の性能向上のほか、エクステリア事業の拡大に注力し、今春には埼玉県上尾市にエクステリア施工者育成のための研修所を開設する。三和ホールディングスの高山俊隆会長兼CEOは「シャッターやドアなど基幹事業の顧客を間仕切りやエントランス、防水など、ほかの事業につなげることが成長のかぎとなる」と既存事業を活用した多角化を目指す。

     

     非住宅分野の中でも、住宅用建材のノウハウが活用しやすい施設について、大建工業の億田正則社長は「老健施設の増加は、介護者不足で壁にぶつかっている。一方で、学校・文教施設は建て替え・リフォーム需要があり、特に床の改修・張り替え需要は約1億㎡を見込む」との見解を示している。

    (川村将貴)

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    掲載日: 2020年1月22日 | presented by 建設通信新聞

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