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  • ドローン測量/斜め往復撮影で標定点不要/フジタ、山口大/作業時間、4分の1に

     フジタは、山口大学と共同で造成地を対象とした独自のドローン測量手法「斜め往復撮影ドローン(RTK搭載型)」を開発した。ドローンのカメラ角度を斜めにして撮影することで測量用の目印となる標定点を設置せずに測量することができ、特に精度を出しにくい高さ方向の測量精度を画期的に向上させる。標定点を完全になくすことで測量にかかる作業時間を最大で4分の1まで削減でき、省力化と生産性の向上が期待される。

     

     「斜め往復撮影ドローン」では、ドローンの飛行時にカメラ角度を10-30度に設定し、複数方向から対象を撮影する。その後、画像サイズや抽出する特徴点数などの詳細検討に基づいてSfM(ストラクチャー・フロム・モーション)解析することで、標定点を設置せずに鉛直方向の撮影を省略しても精度が確保できる。また、標定点を設置しないため、災害現場など人の立ち入りが困難な現場でも高精度な測量が可能となる。

     

     通常のドローン測量では、計測対象範囲内に100m以下の間隔で標定点の設置が規定されており、完全に標定点が不要で手間を省くことができるドローン測量技法が求められている。一方で、ドローンで撮影した画像から3次元モデルを生成するSfM解析では、従来の鉛直並行飛行で撮影した画像のみの処理では高さ方向に大きな誤差が生じる問題があり、標定点を設置しなければ本来は平坦な地形をドーム状やボール状などにゆがめて推定してしまうという課題がある。

     

     山口大大学院創成科学研究科の神野有生准教授の研究室では、SfM解析で生じる誤差への対策として、撮影の向き・高度に多様性を持たせる斜め撮影の研究をしている。今回の共同研究では、神野研究室でカメラ角度、画像セットなどの撮影設定とSfM解析の条件・パラメータ設定を5000ケース以上の解析実験に基づいて造成地向けに精密に分析・調整し、フジタが施工する造成現場で繰り返し検証した。その結果、標定点を完全に省略し、GSD(地上画素寸法)20mmに相当する高度のドローン測量で、国土交通省で示された出来形管理の基準値である測量精度プラスマイナス50mm以内という高精度を達成した。

     

     今後、急峻な地形など厳しい条件下で実証データを蓄積し、技術のさらなる効率化・高精度化を進め、標定点の設置を原則とする国交省の基準要項の改定につなげていく方針だ。

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    掲載日: 2020年1月30日 | presented by 建設通信新聞

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