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  • 建設論評・リスク管理で大事にしたい普遍的視座

     昨年の夏に発覚した1つの事案で行政指導を受けた名だたる37社の社名が報道され、事件化した。その内容は、就職情報サイトを運営し就活全般を支援する著名な企業がまとめた“内定辞退率予測”をめぐる個人情報の収集と、データのやりとりや扱いにかかわる出来事である。疑問を感じるのは、経営理念始め法令順守や行動指針などを根本に組織と体制が整っているだろう有名企業ばかりだったことだ。ちなみに、某新聞は社説や経済・企業、社会面などで12月までの報道数は33件、記載された社名も延べ84社あった(筆者集計)。

     

     報道された各社は“リスク回避”部門として、コンプライアンス(法令順守)始め法務、リスクコントロールも担う、それなりの権限を持つ管理職クラスをトップに据え構築しているはずである。にもかかわらず、「法的検証が不十分」「認識が甘い」などと評された背景には何が潜んでいたのだろうか。

     

     私見だが、3つほどの背景が挙げられよう。1つは、これら担当部門の社内での認知度の低さ、2つ目は、管理職や部門間のなれ合い、社内外ルールを軽視しがちな企業風土の存在、3つ目が、取引先の企業ブランドおよび相互信頼で本来着手すべき独自の調査、検証を怠ったことなどであろう。

     

     事業活動には必ずリスク(危険)が付随する。事業の内容と規模でクライシス(危機)タイプと発生頻度は異なるとされる。健全な経営の持続に与える影響度にかかわる危険および危機管理対応への態勢づくりと共有化がまず大事と考える。

     

     従業員の危険および危機管理に関する意識改革を図る啓発機会で、触れておきたいその領域周辺の言葉がある。それは、個別事象の管理手法内容の周知徹底に加え、横断的に共有できる普遍的思考の1つとして頭の中にとどめておきたい内容である。

     

     具体的には「リスクをイメージできない人の存在がリスク」「危険予知で約50%の抑制管理が可能」「既存指針で収束できないリスクの存在」「想定して初めて管理が可能」「想定外指針は無駄ではないが策定は難しい」「事前の万全策より、事後の適切な対応が大事」「現場従事者の指針・マニュアル作成参画が実効性を高める」などである。人の心理の面から「見たくないものは見えない」「相手を過小に見る傾向は、認知拒否を意味する」「自分と異なるとみなすと理解しなくなる」も。そのほか、「想定外の事柄については考えが及びにくい」「仮説を立てられない人は分析力が乏しい傾向にある」「指針内容は万全だが、対応者で成否が分かれる」「指針・マニュアルは7、個人の資質が3」「説明者の職位で企業の対応姿勢が分かる」など、事例を交えた短い解説が記憶に残りやすく、実効性を高めると考える。

     

     ある公共交通機関のトップは、「求められているのは基準づくりではなく、臨機応変に対応する姿勢だ」「ソフト面の対策は社員の技量と安全意識の向上なのだが、さまざまな安全対策のうち最も大切で最も難しいのが、安全意識の醸成である」と言い切っている。最後に「不正」を見過ごすことは会社が加担したのに等しいとも言われている。 (次)

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    掲載日: 2020年1月31日 | presented by 建設通信新聞

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