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  • 地域建設産業・次代をつなぐ〈1〉北海道・函館市/齊藤建設/齊藤 大介社長

    【i-Conは“働き方改革”/チーム立ち上げ専属技術者を配置/選択に自信持ち投資に決断/優秀な技術者確保の布石】

     

     北海道函館市に本社を置く齊藤建設は、『働き方改革』という言葉が広がる以前の6年前からi-Constructionを導入して働き方改革を実現、入社6年以内の退職者ゼロ人という結果にまでつなげている。齊藤大介社長は、「選択に自信を持ち、先行投資したことで、当初の不安は解消し、しっかりしたリターンを得られるようになった。先行投資するためには、経営トップの先を見通す力と、決断力が必要で、先頭を切ることが重要だ」と力を込める。 北海道知内町で会社を興した同社が、函館市に本社を移したのは13年前。知内町に本社があると技術者の採用は難しいということが移転の大きな理由だった。それでも「イメージが悪く、夜遅くまで仕事していて、一般人の目線で見てもきつい仕事だなとつくづく感じており、もう少しスマートな労働環境をつくりたい」と考えていた齊藤社長は、人口減少によるさらなる現場技術者と熟練工の不足を予測し、2013年からi-Conに取り組み始めた。

     

     3次元測量用のトータルステーション(TS)の存在を知り、「すぐに買った」という。バックホウとブルドーザーも相次いで購入。この動きに対し、「多くの社員が違和感を持っていたと思う」というほど、異質な動きだった。

     

     まず「i-Constructionプロジェクトチームを立ち上げ、優秀な技術者1人を専任で充てた」。その技術者が、約1年掛けて独学で測量方法やデータ制作などを勉強し、i-Con技術を身に付けた。地域建設会社にとって、優秀な技術者1人を現場に充てられないということは、毎年公共工事を1本放棄するに等しい。「この決断が1番のポイントだった。お陰で物事が前に進んだ」と振り返る。ICT対応建機も、実際に使うのは協力会社のオペレーターのため、建機を購入した社長の判断に、社員が違和感を覚えるのも当然だった。だが、実際に現場で実践すると、「むしろ協力会社の社長が高く評価してくれて、自社で購入してくれるようになった」という。「まずは元請けが買って、協力会社に使ってもらうという流れをつくって広げなければできない」と力を込める。

     

     いまではプロジェクトチームは、最初に取り組んだ技術者と女性2人の計3人となり、今後もさらに増やす予定だ。同種・同規模工事で、自動追尾型のトータルステーション(TS)などによる測量と3Dデータ制作をi-Conチームが担当して現場に配信する「i-Con施工」と、従来施工の業務の効率性を比較した結果、待機時間と確認時間の短縮や、測量・建機の誘導、監視時間の短縮、製図・数量算出の短縮によって「施工効率は8%、現場技術者の業務効率は62%向上した」という明確な結果も出た。

     

     ただ、齊藤社長が考えるi-Conのメリットは、施工効率とは別のところにある。「丁張りやのり面整形の誘導が不要になるが、だからといって現場の技術者を減らしたら意味がない。従来施工で3-4人必要な現場はi-Con施工でも3-4人充てる。同じ人数でより良い成果品ができ、時間に余裕ができることで、i-Conが働き方改革と初めてリンクする」と強調する。

     

     いまでは、i-Conの指定工事でなくても、道発注も含め全工事でドローンを飛ばし、3Dモデルを制作する。価格が合わない工事もあるものの「成果品の発注者からの評価が高く、取り組んで良かった」と語る。

     

     将来的には「最新技術を学び、高い評価を得られる優秀な技術者の数を増やすことが生き残る道だ。チームワークの取れたバランスの良い会社になっていきたい」と考えている。それは、「高速道路の開通など、今後数年は事業量がある。だが、その後は、厳しくなるかも知れない。その時に再び函館以外の地域に出ることになれば、その地域の企業より優秀な技術者を抱え、良い評価を得なければならない。そのための準備段階だ」と見据えているからだ。

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    掲載日: 2020年2月3日 | presented by 建設通信新聞

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