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  • 建設業はいまNo.8/衝撃8

    【大手、中小とも需要増実感/鉄骨ファブ 認定工場の強み】

     

     10日に開かれた鉄骨建設業協会(鉄骨協)の新年賀詞交歓会。参加者の顔色は一様に高揚感に満ちていた。同協会は、ハイグレードの鉄骨を扱う、大手の鉄骨ファブリケーター(鉄骨の加工・製作・据え付け)企業で構成する業界団体。超高層や大規模開発の建築工事でグレードの高い鋼構造物を提供するのが役割だ。鉄骨協加盟企業が手掛ける鉄骨量は今期と比較して来期さらに1割以上増加することが見込まれ、参加者の表情を明るくしているようだ。

     

     賀詞交歓会に出席した川田グループを率いる川田忠裕社長は、参加者の高揚感について「当社も(これまで賀詞交歓に参加していた)工場長が今回参加していない。その意味することがすぐに分かるはず」と解説する。工場はいま、1日2交代制から3交代制にシフトし、需要に応え続けているという。

     

     元請けであるゼネコンにとって、鉄骨ファブは下請け、専門工事業の1つ。ただ専門工事業といっても、上場する大手や商社系、さらに全国各地区には地元ファブと呼ばれる地域企業が混在している業種でもある。

     

     通常、需要が増加している地域があった場合、その地域や周辺の企業がその恩恵を受けるのが建設産業でも一般的。しかし、鉄骨ファブ業界は大手から地方の地元企業まですべての規模で需要増加の恩恵を受けているのが最大の特徴になっている。大手と中小企業で建設市場の景況感が大きく異なるケースが多い建設産業界で、唯一の例外と言っても過言ではない、大手と中小が需要増をともに実感することを共有することができているのはなぜか。

     

     キーワードは「工場生産」と「生産性向上」の2つだ。鉄骨ファブの工場は、複数段階に分かれているグレード(等級)の認定を受け、認定の範囲内の製品を製作できる。つまり地方でもハイグレードな製品製作が可能な認定工場であれば、首都圏で需要がある超高層・大規模建築工事にも納入できる。

     

     「工場生産」にはもう1つかぎがある。投資をして設備増強しない限り、フル稼働しても生産能力は決まっている点だ。来年度の日本国内全体の鉄骨需要量は今年度の510万t程度から530万-540万tまで増加する見通し。

     

     最盛期には700万-800万tとも言われた国内鉄骨ファブの生産能力は、鉄骨需要減少と それに伴う熾烈(しれつ)な競争激化の結果、設備廃棄や工場廃止、事業撤退などが大手から中小まで広がったことで、「来期見込み量でいっぱい」と言われるほど供給力を落としている。

     

     そのため大手ファブは、鉄骨協加盟の同業他社だけにとどまらず、地元ファブで構成する中小企業団体の全国鐵構工業協会(全構協)加盟でハイグレードの認定工場を持つ企業も組み入れて、鉄骨ファブ業務を補完し合うファブフォーメーションを「構築し、需要増に対応している」(田中進駒井ハルテック社長)。

     

     鋼構造物が工場製作であることが旬のキーワードである「生産性向上」につながり、堅調な需要増維持にもつながっている鉄骨ファブ業界。

     

     しかし「好事魔多し」。思わぬいくつかの問題が、鉄骨協と全構協加盟企業の中で浮上し始めた。

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    掲載日: 2018年1月17日 | presented by 建設通信新聞

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