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工期短縮、省人化に効果/CF工法協会/施工=東亜建設工業JV/陸前高田市で防潮堤現場見学会
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>CF(コンポジットフォーム)工法協会(清都一章会長)は、岩手県陸前高田市発注の脇之沢漁港海岸災害復旧(防潮堤)工事(施工=東亜建設工業・菊池組・共立土木JV、早坂光浩所長)の現場で、同工法の施工事例見学会を開いた=写真。会員を始めとする建設企業などの技術者約60人が参加し、工期短縮や省人化などのCF工法の効果を確認した。
同工事は、東日本大震災で被災した脇之沢漁港海岸の3地区(沼田、脇の沢、勝木田)に総延長1859mの防潮堤を整備するもの。防潮堤はL型と逆T型の2パターンで、高さは被災前のT・P(東京湾平均海面高)6.5mから12.5mにかさ上げすることで、津波シミュレーションにより得られた最大津波高から1mの余裕を確保する。工期は10月5日までで、1月末現在の進捗率は81.0%。1859m中、1501mが完成している。施工に当たっては、CF工法と従来工法を併用。182スパン(1スパン長さ約10m)のうち、約9割に当たる159スパンにCF工法を採用する。
同工法は、高さ90cmの専用のせき板(3層ベニヤパネル)を「くしの歯」状に組み上げ、歯の隙間から生コンを打設し、作業に合わせて積み重ねていくことで、1回当たり最大20mまで打設することができる。東亜建設工業JV現場の堤防高の場合、従来工法では約4回に分けて打設が必要になるが、CF工法では1回でできるため、工程を大幅に短縮できる。
また、H形鋼材とせき板の設置には熟練工でなくても高い精度で型枠が施工できるほか、打込高を低く抑えつつ、目視しながら打設できるため、気泡の発生などの抑制による高品質化、廃材活用による産業廃棄物の低減などの副次的な効果なども期待できる。
清都会長が進行役を務めた見学会では、席上あいさつに立った早坂所長(東亜建設工業)が「CF工法ならば、東日本大震災で作業員が不足の中でも対応が可能だと採用を決めた。工期短縮や省人化に加えて、クローラークレーンやポンプ車の台数も削減することができ、工程どおり進められている」と同工法導入の効果を強調した。
この後、宇佐美克則副所長(同)が工事概要を説明し、所長の案内のもと、参加者は防潮堤の完成個所やせき板の設置などが行われている場内を見て回った。
見学会後に行われた講演会では、3人の学識者がコンクリート構造物について多角的に解説。この中で、景観を専門分野とする佐々木葉早稲田大教授は「人間の目には見え方のルールがある」とし、CF工法について壁面に残る格子状の模様が「縦のリブ模様を強調する工夫を施すことで安定感や支える感覚を表現することができる」と述べた。また、竹田宣典広島工業大教授は「専用せき板の保温性が高く、脱型によって発生しやすい寒冷地施工のひび割れ抑制に有効だ」などと語った。最後に高橋均清都組統括部長がCF工法のメリットなどを改めて情報提供した。
講演会後、清都会長は「今後は関西地方での催しなどを企画している。CF工法の普及・推進に向けて多くの方々に参加してもらいたい」と同工法の普及に意欲を示した。
残り50%掲載日: 2020年3月4日 | presented by 建設通信新聞