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キャリアアップシステム登録/事業者7割 技能者6割/中筋組/2次下請け登録も推進
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設業の持続的発展に向け技能者の処遇改善が求められる中、その一助として期待される建設キャリアアップシステムへの対応は地域建設業にとって避けては通れないものになりつつある。中筋組(島根県出雲市、中筋豊通社長)は、「国土交通省から受注したすべての工事現場でのシステム導入」という独自の目標を掲げ、協力企業のシステム登録を推進。協力会組織の登録率は事業者が約7割、技能者も約6割に達し、全国の地域建設企業でトップクラスに位置する。協力企業に対する利用目的の周知や実際の登録作業の支援など、元請企業自らが実行に移すことで登録数の増加につなげている。
中筋組協力会のシステム登録数は事業者が50業者(登録率約7割)。技能者は431人、登録率が約55%に上る。申請中の技能者が81人いるため、登録率はさらに高まるとみられる。公共工事を主体とする協力企業が登録率を引き上げていることから、今後は民間主体の協力企業の浸透に努める。
協力会以外の取引業者(協力企業の2次下請業者など)も対象としており、事業者15業者、技能者166人の登録が完了している。申請中の技能者は15人となっている。
同社が2018年度に施工した「大田静間道路静間川橋下部第3工事」が建設業振興基金の限定運用モデル現場に選定されたことを契機として、協力企業の代表らにシステムの意義を個別、丁寧に説明し理解を得たことが登録促進の背景にある。加えて、登録作業に苦慮する業者には担当者を直接派遣しサポートしていることも寄与している。
システム導入の効果は、4段階の能力評価制度に伴う専門工事業者の施工能力評価、キャリアパスを通じた技能者の定着と新規入職の推進、建退共やマイナンバーとの連携による事務手続きの効率化などが見込まれている。実際にシステムを利用した技能者も「4段階で技能者がレベル分けされるので、賃金などの処遇改善を含め早く資格を取得し、(最終的に)ゴールドカードをもらうという明確な目標ができる」と口にしている。
中筋社長はこうした声を聞くたびに、先進的にシステム登録に取り組んできた成果を実感しているという。
一方、「協力業者の多くはチームで働くが、レベル4の技能者が必要な工事もあれば、レベル2、3で対応できる案件もある」と現行の施工体制に言及する。その上で、51職種47都道府県別の職種・地域ごとに一律の単価を設定している公共工事設計労務単価が「レベル1-4のどこが基準になっているのか」と疑問を呈し、4段階の能力評価が実際の賃金と合致していないとの見方を示す。
技能者は能力評価に応じた収入が得られなければ、処遇改善の中核と言える賃金面で目標を持てず、担い手の確保・育成にも影響すると危惧(きぐ)する。
さらに、元請企業と同様に、専門工事業者も「共通経費や本社などの管理経費の確保が不可欠」なため、企業経営の安定化を見据えた対応が必要と加える。建設業全体のシステム登録の推進については「メリットを実感できることが重要だ」と強調する。
また、「カードリーダーを設置している現場がまだ限定的なので、公共工事、民間工事を問わず、どの現場でもカードリーダーを設置してほしい」(システム利用技能者)との意見も寄せられていることから、同社は直轄だけでなく、自治体や民間工事の現場でも積極的にシステムを導入し、浸透を加速させたい考えだ。
残り50%掲載日: 2020年3月4日 | presented by 建設通信新聞