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静かに変わる地域建設業の構図/流通系、メーカーによるM&A進む
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>後継者不足などによる事業承継が中小企業にとって大きな課題となる中、地域の建設業にもM&A(企業の合併・買収)の波が確実に押し寄せている。大会社による中小企業の買収や建設会社同士の合併だけでなく、建材卸などの流通系企業やメーカーによる地場建設会社の買収なども進んでいる。地域の名士である独立系の建設会社が地域を守るというこれまでの構図が、非独立系建設会社が地域の多数を占めるといった姿に、静かにそして確実に変わろうとしている。
「地域で最大手の鉄骨建設会社が売りに出ている」。中国地方のある建設会社の経営者は、こうした噂が日常的に耳に入ってくるという。別の地域建設会社社長も、M&Aの仲介会社や地方銀行から地域の建設会社の買収相談をたびたび持ちかけられ、断っている。
地場大手の建設会社が専門工事会社を買収するといった事例や、同業者による展開地域拡大を目指した買収も見られるものの、最近目立つのは、「建材卸などの流通系企業やメーカーによる地方の工務店の買収」という。
2019年に発表されただけでも、安全衛生用品・防災用品などの販売を手掛ける日本乾溜工業(福岡市)による地場建設会社「大邦興産」(熊本市)の子会社化、発泡事業を展開する旭有機材による断熱・内装工事会社「ランドウィック」(大阪府東大阪市)の全株取得、資材卸からライフライン事業者への転換を進めるインフラプラス(兵庫県姫路市)の子会社ナカシマによる水道工事業者「安藤建設」(神戸市)の完全子会社化、宇都宮市で電設資材・土木建機の販売を手掛ける藤井産業による路面切削専門工事会社「日本切削工業」(栃木県小山市)の買収、架線金物メーカーのイワブチによる地場建設会社「丸山建設」(千葉県松戸市)の株式取得、北海道の住宅・建設資材総合商社クロザワによるマンション大規模修繕工事会社「フリーステアーズ」(千葉県佐倉市)の買収などがある。
建材商社やメーカーにとっては、施工機能を持つ地場建設会社や専門工事会社の買収によって資材・商品の展開先を確保できるほか、商品と施工の組み合わせによるソリューション提供といった道が広がる。
東北地方の建設業協会幹部は、こうした動きの特徴を「地域の核となる都市の外縁部の企業から買われている」と説明し、その結果、“地域の守り手”の減少を不安視する。他産業に買収されても技術者などの施工能力を確保していれば災害時の対応は可能という考え方もあるものの、地域の名士である独立系建設会社が非独立系建設会社に取って代わることによって、「おらが街を守る」という意識が薄れることに強い危機感を示す。地域の建設業界の構図がゆっくりと変わろうとしている中、地域を守る建設会社のあり方がいま問われている。
残り50%掲載日: 2020年3月9日 | presented by 建設通信新聞