建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
スコープ/建設コン各社、本社移転進む/機能集約・好立地で利便性向上
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>◇社員の交流促進、新卒採用優位にも
建設コンサルタント各社が職場環境の改善を目的に、続々と本社移転を進めている。本社や支店などこれまで分散していた機能を1カ所に集約。社員同士の対話を促し事業領域の拡大につなげている。都心に位置する立地条件が、顧客や社員の利便性向上にも奏功しているようだ。本社移転を自社の魅力と捉え、激化する人材獲得競争を勝ち抜こうとする姿勢もうかがえた。各社の状況を振り返る。
働き方改革の推進や生産性向上などを理由に本社移転を行っている建コン各社。2015年にはパシフィックコンサルタンツが東京都多摩市の本社と新宿区にあった首都圏本社を統合。千代田区神田錦町に拠点を移した。八千代エンジニヤリングも本店や国際事業本部、グループ企業の各機能を新宿区から台東区浅草橋のオフィスビルへと移転した。
18年以降は最大手の日本工営、オオバ、大日本コンサルタントの3社が本社移転に乗りだしている。オオバは18年12月に東京都目黒区青葉台の旧本社(1966年完成)から千代田区神田錦町の「興和一橋ビル」に移転。同ビルの2フロア(11、12階)には本社と東京支店が入る。
新本社周辺には地下鉄竹橋駅や神保町駅が近接。昨年1月には得意先や関係者を招いたお披露目会を開いた。式典で辻本茂社長は「顧客のアクセスも格段に向上した。22年に創業100周年という節目にふさわしい」と本社移転によってさまざまな効果が得られると力を込めた。
打ち合わせなどで利用される「コミュニケーションルーム」には、和紙でできたモニュメントを設置。社員の創造力をかき立て、多様な働き方を実現する空間演出が施されている。
新本社の移転は就労環境の改善だけでなく、新卒採用の面でも効果があるという。同社の幹部は「採用試験の応募数も増えている」といい、「従来の建設コンサルが持つイメージを払拭(ふっしょく)することで、より優秀な学生を確保できる」状況にあると流れを解説する。
大日本コンサルは、昨年12月に千代田区神田練塀町にある「住友不動産秋葉原駅前ビル」の4階に移転した。93年に完成した豊島区駒込の旧本社は設備の老朽化に加え、各部門が階層ごとに分散・入居していた。新本社は会長室や社長室、事務、海外部門を1フロアに集約した。
白を基調とした執務スペースには約100人が働く。一部の部門では自席を持たないフリーアドレスも実施している。社員同士のコミュニケーション活性化につなげるとともに、部門間の連携を加速させ、新領域の拡大に役立てる。
オフィス環境の見直しにより、「業務効率のさらなる改善につながる」(新井伸博社長)ことが期待される。秋葉原駅前という立地条件は、顧客だけでなく出張する社員の利便性向上に貢献しているという。
5月に千代田区九段下から麹町に本社を移転し、業務を開始するのは日本工営。「出会う・繋がる・愉しむ」を施設コンセプトに掲げ、78年に完成した既存の本社を建て替えた。外観やエントランスホールには伝統的な織物柄である「翁(おきな)格子」をイメージした内外装材を採用した。格子幅の比率をすべて1対2対4と倍数にすることで自社の持続的発展を祈念している。
3~11階に入居する執務スペースは柱のない開放的な空間を演出。エレベーターホールに隣接する内部空間は全面ガラス張りにし、社員が心身共に働きやすい環境を具現化した。最上階にあるコラボレーションエリアは、四谷界わいを一望できる「N-Cafe」などを配置。ミーティングだけでなく、昼のランチルームとしても利用可能だ。和室も用意し、国内外の顧客を出迎える。
新本社の所在地は麹町5の4。S一部SRC造(柱CFT造)地下1階地上12階建て延べ1万7565平方メートルの規模で、設計・施工を鹿島が担当。デザイン監修は子会社の黒川紀章建築都市設計事務所が担った。施設のデザインに当たってはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用。分かりやすいビジュアルイメージと3Dモデルを駆使することで、竣工後の維持管理に役立てる。
1月に行った竣工式で有元龍一社長は「当社がグローバル企業として成長する上で新本社がシンボルになる」と強調。新約聖書にある「新しい酒は新しい革袋に」という格言になぞらえ、「社員一同生まれ変わったビルに入り、世界になくてはならない企業へと進化し続けていく」ことを誓った。
残り50%掲載日: 2020年3月19日 | presented by 日刊建設工業新聞