建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
働き方改革へ新制度始動/4月からこう変わる 行政/改正品確法・運用指針/に基づく発注事務開始/時間外労働の上限規制/中小企業にも適用開始
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染症の拡大による混乱の中、あすから2020年度がスタートする。罰則付き時間外労働規制が中小企業を含めた測量、地質調査、建設コンサルタント、建築設計の技術サービス業に適用開始となり、建設業に対する規制も刻一刻と迫る中で、国は働き方改革の実現へ向け、新たな制度を始動させる。 公共工事品質確保促進法(品確法)の改正に基づく、新たな「運用指針」の適用を開始する。発注関係事務の共通ルールである運用指針の見直しにより、公共発注者も建設業の働き方改革への対応を考慮することが明確にされた。
実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度の活用や繰越明許費・債務負担行為の活用、中長期的な工事発注見通しの地域ブロック単位での統合公表といった工期の適正化に向けた取り組みを実施する。
加えて、災害の激甚化・頻発化を念頭に置き、緊急度に応じた随意契約の適用や概算数量での発注後の契約変更手続きなど災害時の具体的対応について、新たな運用指針を根拠規定に可能とする。
測量、調査、設計など業務については、これまでのように工事に準じて適用するのではなく、独自のルールとして設定。技術的に高度または専門的な技術が要求される業務や地域特性を踏まえた検討が必要となる業務に関して、プロポーザル方式による技術提案を求めることが明記された。
▼直轄土木の全工事、週休2日の対象に
直轄土木工事では、20年度から原則すべての工事を週休2日対象工事とする。現場閉所が困難な維持工事には交代制で対応。週休2日対象工事は、週休2日の確保状況に応じて労務費などを補正するとともに、成績評定を加減点する。原則すべての工事を対象とするが、迅速な対応が求められる災害復旧工事は除く。
▼行政手続き簡素化でコストを大幅に削減
行政手続きにかかる事業者の負担軽減を目的に、4月1日から建設業の許可申請・更新時に求めていた書類を簡素化する。許可申請時や決算変更届出時に提出を求める書類から、「国家資格者等・管理技術者一覧表」について大臣許可、知事許可ともに削除。あわせて、営業所の地図や営業所を使用する権原を確認するための書類、使用人の常勤性を確認する書類などを大臣許可において不要とする。
測量業者に対しては、登録申請時と事業年度ごとに提出する書類を簡素化する。法人事業者に対して求めている財務関係書類計19枚を廃止し、新たに定める財務事項一覧表1枚に集約。一覧表に貸借対照表と損益計算書を添付する形式に改め、事業者の事務負担の大幅な軽減を図る。
▼改正民法施行にあわせ改正標準約款を適用
改正民法の施行に対応した「建設工事標準請負契約約款」(標準約款)の適用が開始される。契約した工事の材料費や下請代金の支払いに充てる場合に工事請負代金債権の譲渡を認める規定や、契約不適合責任の担保期間を引き渡しから2年(設備機器などは1年間)とする規定などを盛り込んでいる。 改正労働基準法の施行に伴い、月45時間、年360時間を原則とする時間外労働の罰則付き上限規制が、2019年4月1日施行の大企業に続き、中小企業に適用される。測量、地質調査、建設コンサルタント、建築設計などの技術サービス業では全面的に規制が始まる。建設業は大企業、中小企業ともに猶予期間があり、24年4月1日から適用される。
原則の月45時間を超えることができるのは、年間6カ月まで。臨時的な特別の事情があり、労使が合意した場合でも、休日労働を含めて月100時間未満、2カ月から6カ月のいずれの期間の平均で80時間以内とし、年間で最大720時間以内としなければならない。違反した場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがある。
同一企業・団体の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の 不合理な待遇差を禁止する同一労働同一賃金も大企業で適用が始まる。中小企業では21年4月1日から適用になる。
▼改正フロン排出抑制法確認書の写し保存義務
建物解体時の規制を強化する改正フロン排出抑制法が施行される。建設・解体業者に対しては、解体する建物で業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器の設置に関する事前確認書の写しを保存する義務を新設する。保存期間は3年。
事前確認でフロン類が使われている機器の設置が認められた場合は、建設・解体業者が発注者からフロン類の引き渡し業務を受託し、フロン類の回収を充填回収業者に依頼した上で、廃棄物・リサイクル業者に機器を引き渡す必要がある。
フロン類をみだりに放出した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
▼建築物を意匠法の保護対象に追加
従来の物品に加え、建築物を保護対象に追加する改正意匠法が施行される。新規性・創作性が認められて登録した外観・内装デザインを権利者以外が模倣した場合、排除を求めることができるようになる。
土地の定着物で、土木構造物を含む人工構造物を意匠法上の建築物と定義。商業用建築物、住宅、工場、競技場、橋梁、煙突などが対象になる。複数で構成する場合、同じ用途や機能を果たすために必須なものは1つの建築物として扱う。
全体として統一的な美感を起こさせる店舗、事務所、その他施設の内装も出願し、意匠登録を受けることが可能になる。
残り50%掲載日: 2020年3月31日 | presented by 建設通信新聞