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トップに聞く・ネクスコ・ウエストUSA 松本 正人氏/市場がなければ創設する
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>日本における「社会資本メンテナンス元年」と位置付けられた2013年以前から、米国で道路の維持管理の市場開拓に挑んできたネクスコ・ウエストUSA。松本正人社長は「市場がなければ、市場を創設することが必要だ」と語る。日本のメンテナンス市場の展望について、「新技術の完全な精度証明には時間がかかる。技術と現行制度との整合性が課題」とみる松本社長に米国市場開拓の経緯や今後の方針を聞いた。 ネクスコ・ウエストUSAはNEXCO西日本の子会社として11年に設立された。現在は松本社長を含め11人のメンバーで米国を中心にプロポーザル提案などを行っている。同社が展開するのは赤外線を活用した路面の非破壊点検。空洞の影響による路面温度の違いを走行する自動車で収集し、ソフトで解析する。車線規制をせずに長距離を測定できることが特徴だ。設立から17年11月までに32件を受注してきた。
新規参入の海外企業であるネクスコ・ウエストUSAが受注獲得に至るまでの道のりは厳しかった。受注の可能性がある業務は現地の大手企業が受注しない技術的に困難な現場や、利益の上がりにくい小規模な発注であることが多い。さらにプロポーザルの評価も業務経験が大きな割合を占め、実績のない会社はコストを下げて受注を獲得にいかねばならなかった。
設立当初は米国の大学などと連携した無償のパイロット事業からスタートし、小規模業務を積み重ね、口コミで徐々に評価を高めていった。米国の政府公認ロボットに同社の技術が導入されたことなどを契機に受注が増加。16年にトンネル点検を受注し、17年には元請受注に至った。道路以外ではビル、鉄道などの構造物やブラジルのダムなど米国以外での契約実績もある。
さらに、赤外線カメラのメーカーであるフレイア社とパートナーシップを締結。「フレイア社のカメラを活用した点検技術が広がることで、付加価値を付けてフレイア社はカメラを販売することができる。ネクスコ・ウエストUSAにとってはフレイア社が全米で売り込んでくれることで人手不足を解消できることに加え、メーカーのブランド力により顧客の信頼獲得へとつながった」と成果を口にする。
松本社長は後進の育成にも力を入れる。「NEXCO USA道場」と銘打ち、学生や社会人などのインターンシップを受け入れている。海外での業務経験を『歩から、と金に成る』と将棋に例え、「海外ではあらゆる困難に直面する。海外派遣で成長することで自ら考え行動できる社員が増える」と語る。
昨年12月に開催されたインフラメンテナンス国民会議のセミナーへの登壇を始め、自身に続くメンテナンス産業の裾野を広げる人材育成に貢献する。
「今後は、20年に全米スタンダードの獲得を目標に、受注やソフト販売を伸ばしていくとともに、後任の育成など組織・会社として成長していきたい」と抱負を語った。* *
(まつもと・まさと)1997年日本道路公団入社。2011年ネクスコ・ウエストUSA設立とともに、副社長として現地に赴任。16年社長に就任。グローバルに活躍する技術者の育成に携わりながら、自身もリスクをいとわず挑戦を続ける。「安全な手とは、最善手を100点とするならば、少し悪い90点の手だ」という囲碁の井山裕太7冠の言葉を引用し、建設業もリスクを取り続けなければ、いずれ厳しい時代が訪れると常に危機感を持ちながら業務に取り組む。大阪府出身、45歳。
残り50%掲載日: 2018年1月19日 | presented by 建設通信新聞