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  • 新型コロナ対応/過去に例のない事態/大手・準大手の中断が拡大

    【現場の状況を細かくフォロー】

     

     新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の発令と、その後の感染拡大状況を受け、大手・準大手ゼネコンが「工事中断」の方向に大きく傾き始めている。15日には大林組と戸田建設が施工を中断する基本方針を発表しており、17日にかけて中断の方針を打ち出すゼネコンがさらに増える見通し。新型コロナウイルスの問題は、多数のゼネコンが工事を「中断」するという過去に例のない事態に発展しようとしている。 緊急事態宣言を受けた大手・準大手ゼネコンの現場の対応については、発令の翌日に西松建設と東急建設が工事を中断する基本方針を公表していた。設備会社でも、新菱冷熱工業が7都府県にある工事事務所(現場)の原則閉所を基本方針とし、ダイダンも元請け現場は原則閉所として対象7都府県の46現場のうち、15日時点で約4割の現場を閉所した。

     

     ただ、この時点で大手・準大手ゼネコンの多くは、中断の方針を打ち出すことに懐疑的だった。現場の養生や事務所警備だけでなく、中断した際の費用や工期の検討が必要で、対象7都府県の現場をすべて止めることによる業績への影響も否定できず、「一口に中断と言うほど簡単ではない」からだ。現場に従事する協力会社の技能者は『日給月給』が少なくなく、中断すれば生活に直接影響するという問題もある。「中断と言いながら、個別協議の結果、多くの現場を閉められなければ、それこそ企業の社会的責任の問題にもなる」という声も出ていた。

     

     潮目が変わったのは13日。清水建設が自社社員の感染状況などを踏まえ、「原則閉所」との方針を打ち出した衝撃は大きかった。直接的に社員の身の安全に関わる問題としての認識が広がり、協力会社の技能者からも感染を懸念する声が上がっていた。自社で同様の事態が起きる場合を想定すれば現場を止めざるを得ないという状況が生まれ、15日には大林組と戸田建設が中止・閉所方針を発表した。

     

     大林組は、「緊急事態宣言の対象地域の工事現場を5月6日までの工事の状況を精査した上で、期間中の施工中断を前提に20日から協議に入る」とし、対象7都府県以外の地域でも状況に応じて同様の対応を検討する。25日から5月10日までは、一斉休業とし、現場が閉所しやすい環境も整える。それまで「原則として工事を継続する」としていた方針を変更したことについて、「従来から従業員・作業員の安全を第一で対策を取ってきており、中断についても並行して検討していた。現在の感染拡大の状況を踏まえ、中断を決めた」とした。閉所対象の現場は、350カ所程度に上る見込み。戸田建設は、8日から感染防止を最優先に発注者・協力会社との協議を進めてきた中で、首都圏を中心に感染状況が一段と厳しさを増す状況を踏まえ、5月6日まで対象地域の作業所について「顧客と協議の上、原則閉所する方針」とした。

     

     ほかの大手・準大手ゼネコンでも「検討中」とする企業が複数あり、「内部では中止する方向で動いている」「状況が流動的で、きょうは継続と言っても、明日には中止となるかもしれない」という声もあり、17日以降も中止・閉所方針を打ち出すゼネコンが増える見込みだ。「ゴールデンウィークを少し拡大すると考えれば、工期にはそれほど影響を与えずに済むかもしれない」という思惑もあるとみられるものの、「まずは中止するというところから協議をスタートする」というのは、ゼネコンにとって大きな決断となる。費用負担や工程調整の協議だけでなく、補償といった協議も出てくる可能性は否定できず、ある準大手ゼネコンは「もし中止・閉所することになっても、各現場の状況を細かくフォローしながら対応を考えなければならない」とする。

     

     こうした動きを受けて、ある建設業団体からも「現在の状況下で現場を続行するにせよ、中断するにせよ、各社大変厳しい判断をされていると思う。下請業者や技能労働者のことも十分に考えながら、発注者と協議し、対処していただきたい」とする声が上がる。いずれにしても発注者の十分な理解が不可欠だ。

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    掲載日: 2020年4月17日 | presented by 建設通信新聞

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