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地域建設業のコロナ対応/工事中断は「死活問題」/稼働と感染防止を両立
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、大手・準大手の全国ゼネコンが工事中断へとかじを切りつつある一方、地域建設業は工事を継続せざるを得ない状況に直面している。資金力を始め、経営資源が潤沢ではない中小建設企業が地域建設業の大半を占める中で、大手などと同じ判断を下せば、たちまち売り上げ面で苦境に立たされ、自社だけでなく、協力業者も巻き込んだ「死活問題」に発展しかねないからだ。地域の守り手としての責務を果たしていく上でも感染防止というリスク管理に努めながら、現場稼働と向き合っている。
石川県に本社を置く、ある建設企業の経営者は「大手と違い(資金などに)余裕がなく、工事現場を止めたら死活問題だ。何よりも協力業者の生活がかかっている」ことを強調する。2019年度の補正予算に伴う受注案件が稼働しているものの、「発注者に一時中止を申し出るつもりはない」という。
関西地方で複数の拠点を持つ建設企業の経営者は「(同感染症の)終息の時期によると思うが、現時点で計画を延期する案件が出ており、経済的なダメージに比例して、今後の受注計画にマイナスの影響がある」と吐露する。
また、「一時中止に踏み切った場合、離れていった協力会社が工事再開時にすぐに戻ってきてくれる保証はない」「現場を一度離れた職人は(元の現場に)なかなか戻ってきてくれない」など、工事中断が「協力業者や技能労働者との関係性、そして施工体制に影響を及ぼす」と危惧(きぐ)する地場企業は少なくない。
協力業者や技能労働者との関係維持を含め、地域建設業としては先行きの不透明さに起因した経営面の懸念を少しでも払拭(ふっしょく)するため、当面の売り上げ確保に注力せざるを得ないことが工事継続の背景にあるとみられる。
ある建設業協会の会長が話すように、現下の情勢で自然災害が発生すれば、国難はさらに深刻化する。地域建設業が災害対応という使命を全うしていく観点からも、工事受注と円滑な施工を通じた経営と体制の安定化は不可欠となっている。
施工中の工事の中止希望は「ない」との回答が約9割に達する北海道建設業協会のアンケート結果(3月30日現在)に代表されるように、地域建設企業の多くは「万全の感染対策の下、引き続き現場を稼働させる」方針だ。
ただ、資機材の調達難や客足の鈍化による民間建築物の供用時期の変更(後ろ倒し)など、外的要因が今後の現場稼働に影響する可能性があるため、工事発注が本格化する前の端境期(4-6月)にこそ、不可抗力による工期遅延、経費負担などの対応について民間工事を含む発注者としっかりと共有し、コロナ禍の「長期化を見据えた体制づくり」(北陸の建設企業経営者)を進める必要がある。
残り50%掲載日: 2020年4月24日 | presented by 建設通信新聞