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  • 専門工事業の休業補償/発注者に一律対応求める/一部ゼネコンは現場復帰条件に補償

     新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の長期化が見込まれる中、専門工事会社の存続に影を落とし始めている。大手・準大手ゼネコンで工事の中断が広がり、休業補償を求める声が強まっており、一部ゼネコンでは既に再開後の現場への復帰などを条件として協力会社の休業補償を提示している模様だ。専門工事業者の中からは、公共発注者一律での対応を求める声も上がっている。

     

     ある専門工事業者は「元請けからの休業補償がなく助成金だけで賄うことになったら、数カ月後には社員に退職金を支払い、30日分の解雇手当を支給して、廃業しなければならない。最悪の場合、倒産も考えられる」と危機感を募らせる。技能者の休業手当てに加え、機械・資機材などのリース料、一般管理費などをどのくらい補償してもらえるのか見通しが立たず、先行きへの不安は募るばかりだ。そのため、元請けや現場ごとの判断ではなく、統一した判断のもとでの工事中止を求める。

     

     現状、工事を中断している現場もあれば、稼働している現場もあり、一律でない。政府が緊急事態宣言を発令したいま、感染拡大が終息するまで、「国土交通省には全現場の一斉中断を要請してもらう必要がある」と指摘する意見もある一方で、「できるだけ、中断しないで継続してほしい」との声もあり、会社の経営と作業員の感染防止の二律背反の課題に苦悩している。

     

     専門工事業界は、若年者の入職が少なく、慢性的な人手不足の状態で「いま抱えている労働者を手放したくない」のであれば、相応の休業補償をしなければならない。労働基準法では休業前3カ月の平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないとされている。その費用をどのようにして確保するかという課題が生じる。専門工事業各社の対応も「休業手当支給額全額を元請けに請求する」「雇用調整助成金との不足分を請求する」「一定の割合を請求する」と異なる。また、団体として取り組み方針を打ち出したところもある。「作業員が他の作業所や他産業に流出し、工事再開時の人員確保に支障を来すことが懸念されることから、現状の人員確保が不可欠」との考えから、休業手当分の費用負担を要請していく。

     

     一方、元請けの休業手当の対応は「支給しない」とする企業もあれば、80%の休業補償を打ち出したゼネコンもある。休業によって工事再開時に技能者が戻らないことを不安視するゼネコンも多く、100%補償する代わり、工事再開後に復帰することを条件にしたゼネコンもある模様だ。

     

     発注者や元請けによって判断が異なるため、「対応するためにも何らかの指針を出してもらいたい」との声が専門工事業者から上がる。また、「中断した工事と継続している工事で対応に差が出るため、安易に補償すれば、後々、大きな問題に発展しかねない」と補償を躊躇(ちゅうちょ)するゼネコンがあるほか、「元請けからの指示で休業になった場合、元請けとの交渉になるが、現場単位で個別の交渉になると思う」と推察する専門工事業経営者も多く、休業補償の費用負担は感染終息後も大きな影を落としそうだ。加えて、機械や資機材のリース料、現場経費などの諸経費の扱いも課題になってくる。これらの負担額も元請けに請求する考えの専門工事企業は多い。

     

     こうした状況を打開するために「足並みをそろえて最低限の補償を得られるように専門工事業団体、建設産業専門団体連合会から発注者や元請け、国に働きかけてもらいたい」との声が大きく、各専門工事業団体が役割を果たす時だと言える。

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    掲載日: 2020年5月1日 | presented by 建設通信新聞

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