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建設論評・再度新型コロナウイルスについて
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>同じテーマで2度目、それも連続して書くのはこの10年間で初めてのことである。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)を防ぐためにいまや全国で、あるいは世界中で外出の自粛が求められている。新しい病気に対して有効な治療法がまだないこと、予防ワクチン、効果のある治療薬がまだこれから開発される段階であることなどから、ほかに有効な対処の仕方がないのだという。ご多分に漏れず、外出を控えている。しかしどうしても行かないといけないことがあり、4月のある日、都心に出た。
昼下がりの天気の良い時間であった。まず、有楽町から銀座を通って京橋方面に行くと、実に閑散とした風景に遭遇した。人がいないわけではないが、これが銀座だろうかと思うほど少ない。店の多くはデパートを含めシャッターを下ろしている。張り紙を読むと、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐため、緊急事態宣言、都知事の要請により店を閉じていますと書いてある。開業医に入ると、医者と患者の間に透明のビニールシートが張られ、お互いの息が相手にかからないようになっている。何やら芝居を見ているようで、現実味が薄い。
一体いつまでこの状態が続くのだろうか。中国武漢がウイルスの封じ込めに成功したとか、一部の国でピークを超えたのではないかという観測から早期の解決を期待する向きがある一方、医師・看護師らは実態の深刻さから、またワクチンも治療薬もまだこれから開発する予定であることから、ことしいっぱいの外出自粛体制を予想する向きが多いようだ
さて、新型コロナウイルスの影響はどんなものだろうか。このままではリーマン・ショックを上回る経済への打撃が予想される。その理由は、リーマン・ショックは金融界の出来事であったが、今回は人への影響、生産と消費の減退に金融界の混乱が加わって、いわばヒト・カネ・モノすべての面で停滞また混乱があるからである。あとはいつまでに収束するかで経済への打撃の大きさが決まってくるであろう。具体的に言えば、消費と生産はどれだけ落ちこみ、人はどれだけがウイルスに感染し、または外出自粛の影響で運動不足などからくるダメージを受けているか、職を失っているか。さらには無理を重ねて緊急融資したものの、その効果と財源の負担、ダメージはどうかなどである。
例えば、某月某日自粛期間が終わり、銀座を始め繁華街に以前の店舗がどれだけ戻るか戻らないか、商いを諦めた店舗がどれほどあるか、一度働き場所を失った被雇用者がどれだけ就業の場所を確保できるか、無理に融資した巨額資金は無事に戻るのか、社会の混乱に乗じた悪質な犯罪がはびこらないかなど、心配すべきことも山ほどある。
戦前の世界大恐慌(1929年)を想起する向きがある中で、建設業も例外ではあり得ない。人は傷つき、仕事は遅れ、売り上げは減り、受注は激減するという最悪の状態を覚悟する必要があるだろう。それでもわれわれは生きていかねばならない。つらくとも建設業が自分の生きる場所なのだから。 (三)
残り50%掲載日: 2020年5月8日 | presented by 建設通信新聞