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新型コロナ 雇用、市場への影響/3月・求人大幅抑制、求職は増加/3月建着・民間非居住16.8%増
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染拡大の影響が建設産業にも及び始めた。ただ影響が端的に浮き彫りになった「雇用」に対し、「施工」や「受注」などは3月統計では影響があまり表れていない。雇用・施工・受注などの3月統計から、建設産業の現状を見る。
3月の各種統計で、建設産業のコロナの影響が最も端的に表れたのが、企業が求める求人数とその割合を示す求人倍率の低下だ。特に、感染者が最も多い東京都内の3月の建設業新規求人数は、前年同月比23.9%減の5294人まで落ち込んだ。減少割合は9産業中、卸売業・小売業の25.3%減に次いで2番目に高い結果となった。産業平均は10.3%減で、建設業はマイナス幅が15ポイントも高い結果となった。
元請け、下請け問わず各企業が3月に技術者、技能労働者ともに採用抑制に踏み込んだのは確かだ。東京労働局の一般常用求人・求職バランスシート(3月分)では、建築・土木技術者の有効求人数が前年同月比1295人減少した一方で、有効求職者数は43人増加。その結果、求人倍率は1.65ポイント低下し6.92倍となった。躯体など技能労働職種も同様の傾向で、企業は求人の抑制に動く一方で、求職者は増加に転じた形だ。
3月統計では、雇用の影響が端的になり始めた一方で、受注や施工統計への影響はあまり出ていないのも特徴の1つだ。
事実、3月の建築物着工床面積は、全建築物の着工床面積が前年同月比1.3%減にとどまったものの、民間建築の非居住用は16.8%増と8カ月ぶりの増加に転じた。事務所と倉庫がけん引した。これを裏付ける格好となったのが、好調なS造建築物だ。床面積は前月比で21.2%の2桁増となったほか、前年同月比でも7.5%増、連動する形で工事費予定額も19.9%、8.1%それぞれ増加した。
一方、受注は国土交通省の受注動態、日本建設業連合会の3月受注のいずれも民間受注は低迷した。年度受注高と手持ち工事残高(2月時点)の水準は近年の水準を維持しており、大きく落ち込んではいない。
ただ今後、大幅抑制に入った雇用だけでなく、受注、施工などでコロナの影響が拡大する可能性は否定できない。過去、リーマン・ショック時、工事途中の現場が施主からの要請で凍結に追い込まれたケースが相次いだからだ。契約が白紙なら次の仕事確保へ動けるが、凍結の場合、再開への準備も必要でコストと人員配置で身動きが取れないことが経営を圧迫した。
4月以降の各種統計結果の動向に注視する必要がありそうだ。
◆3月統計から見た建設産業
〈雇用〉
▽一般職業紹介(厚労省)=建設業、総合工事業ともに新規求人数は6%台の減少。産業平均は12.1%の減少。
▽東京労働局=建設業の新規求人数は23.9%減。産業平均は10.3%減。
〈市場規模〉
▽建築着工統計=全建築物の着工床面積は前年同月比1.3%減。ただ民間建築の非居住用は16.8%増で8カ月ぶりの増加。
RC造は前月比、前年同月比ともに2桁減、一方S造はいずれも増加を維持。
前年同月比34.3%増の北陸を筆頭に、中部、九州、四国、関東を除く地域はいずれも増。
▽受注動態(大手50社調査)=民間工事は前年同月比22.9%減、減少は3カ月連続。公共工事は7.2%増。増加は2カ月連続。2月の手持ち工事高は17兆円台を維持。
▽日建連の受注=3月の国内受注額は23.7%減も2020年度計は14兆円台を確保。
残り50%掲載日: 2020年5月8日 | presented by 建設通信新聞