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維持管理工事の公共調達制度/利益確保、1社応札が課題/発注ロット拡大など提案/建設経済研レポート
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設経済研究所は、維持管理工事の入札契約に関する調査結果を『建設経済レポートNo.72』で公表した。維持管理工事は、受注企業にとって利益確保が難しいことや発注ロットが一般土木の3-6割程度にとどまり、1社応札の割合も高いことを分析。反面、発注ロットが大きければ、入札が順調に進む傾向が確認できたことから、発注ロットの大型化が不調・不落対策に有効であると結論付けた。調査結果を基に、公共事業費の確保と発注ロットの大型化など8項目の制度改善を提案した。
レポートでは、埼玉、千葉、神奈川、岡山、広島、山口の各県建設業協会への取材や、日本建設連合会、各都道府県建設業協会の加盟企業へのアンケート、国土交通省の北海道開発局と8地方整備局の入札結果データ分析から、維持管理工事に関する公共調達制度の課題を抽出した。
団体・企業への取材・調査からは、維持管理工事は小規模で工期が短く、現場が点在する工事が多いという特殊性から積算基準が現場の実情に合っておらず、適切な変更契約が実施されない場合があるなど利益が出しづらいといった課題が浮き彫りになった。
また、一部では単年度ごとの発注で安定的な受注見通しが立たず、建設機械の投資・維持管理経費が重荷になっているという声もあった。
入札結果データからは、維持管理工事の登録企業数の減少やそれに伴う1社応札、不調・不落の発生による競争性の低下が明らかとなった。企業の受注意欲の低下が結果として、円滑な事業執行に影響を及ぼしかねない状況となっている。
調査結果を踏まえ、▽公共事業費の確保と発注ロットの大型化▽工事長期発注見通しの公表▽積算基準の見直し、最低制限価格等の設定、設計変更の適切な実施▽複数年契約や複数工事を組み合わせた通年契約の促進▽事業協同組合や地域維持型建設協同組合による発注促進▽監理技術者の負担軽減▽除雪機械などの建設機械の貸与▽i-Constructionなどの積極的な活用--の8項目の検討を提案した。
樋門や橋梁を中心に社会資本ストックの老朽化の進展が確実となる中で、国内の人口減少により技術者の確保は難しくなることが予想される。健全な建設業の発展と良好な社会資本整備の促進に向けて、現状で顕在化している課題に適切に対応することが求められている。
残り50%掲載日: 2020年5月19日 | presented by 建設通信新聞