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  • 2018年業界を読む・建設機械

    【「当たり前」のICT時代へ漸進/12/i-Con3年目 各社各様に】

     

     国内建設現場の生産性や安全性向上への指向が高まる中、建機メーカー各社は顧客の建設機械への要求や、ICTなどの大きな変化を先取りして乗り越えなければならない正念場を迎えている。国土交通省がi-Construction施策を打ち出してから3年目を迎え、まさにICTがもたらすパラダイムシフトの真っ只中にいる各社は、「ICTが当たり前となる時代」を見据え、着実に歩を進めている。

     

     日本建設機械工業会の新春賀詞交歓会で平野耕太郎会長(日立建機社長)は「ICTやIoT(モノのインターネット)などを活用した顧客ニーズに合ったソリューションを、業界挙げて顧客に提案していく」との決意を改めて強調した。コマツの大橋徹二社長も2017年末の会見で「顧客自身もそうだが、メーカーの開発がかなりのスピード感をもって進んできた」と手応えを語っている。

     

     建機の販売状況についてキャタピラージャパンのハリー・コブラック代表取締役は、ICT建機の割合を「倍増できた」と振り返るとともに「ICTで先行するオーストラリアなどとは異なり、国交省が先導している例は世界になく、市場はさらに拡大する余地がある」と読む。日立建機の平野社長も17年度のICT建機の販売目標は100台と明かす。いずれにせよ「このペースは今後も継続する」との見方は各社共通だ。

     

     なかでも大橋社長は「販売シェアは言っても仕方ない。新車販売台数はあまり気にしていない」と断言し、「とにかくファンを増やしたい」と繰り返した。この発言には、プラットフォームの開発やさらなる普及を通じてユーザーを増やし、収益確保を目指したい思惑がある。

     

     建機メーカーにとって「一丁目一番地」となる機械の提供だけでなく、今後は測量から完成後の点検・メンテナンスなどの維持管理・更新にわたる施工プロセス全体のICT・IoTソリューションの開発、磨き上げに注力しなければ、「いずれソフトウェア会社との競合となり、建機メーカーは建機を提供するだけの存在になってしまう」と危惧(きぐ)する声は根強い。だからこそコマツは、21年に迎える創立100周年を念頭に、“次なる大きなAI産業”と目される建設分野に「AI(人工知能)を投入し、『未来の現場』に変革させるための最初の一歩」(四家千佳史コマツ執行役員スマートコンストラクション推進本部長)を踏み出す考えだ。

     

     その1つに17年末に発表した半導体メーカー・NVIDIAとの協業がある。「スマートコンストラクション」にNVIDIAのGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)やAIコンピューティング技術を導入することも決めた。

     

     一方、ユーザーにとってはICT建機という高額な投資に見合う成果を得ることは至上命題である。実務に即したICT活用の研さんを重ね、現場ごとの“最適解”を探求し、ノウハウを蓄積することに余念がない。その結果、情報化施工に積極的に取り組む地域建設企業からは「メーカー側がついてきていない」との声も漏れ聞こえる。「建機メーカーの社長が驚いて現場を見に来た」と明かす別の地域建設企業もある。

     

     各地域でICT活用をリードする企業が増えてきたからこそ、「営業マンの教育がますます難しく重要課題になる」(平野社長)と気を引き締める。「とにかく提案の場数を踏ませる」「営業マン自身が、顧客をうならせるくらいのデモを見せられるようにしなければならない」など、各社は足下から人材育成を見直す時期に差し掛かっている。

     

     ユーザーの目が肥えてきたことで、建設現場の生産性向上という本来の目的にたどり着いたとも言える。i-Conの進展によりICT進展に関して他産業とのタイムラグがなくなりつつあるからこそ、建設現場のニーズにシーズを一致できるかが重要になる。ユーザーとメーカーが両輪となり、ICTの真価を発揮するべき土壌が整ってきた。 (藤森晶)

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    掲載日: 2018年1月24日 | presented by 建設通信新聞

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