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首都圏1都3県の前金払関連制度/改善、普及に温度差/東京都、前払い上限9割超
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染症の影響で、建設市場にも不透明感が漂っている。終息が見通せない中で民間投資が減速すれば、景気の下支えとして公共投資が重要の役割を担うことになるが、その担い手である中小建設企業の円滑な資金調達に欠かせない前払金関連制度の課題を改めて指摘する声が上がっている。東日本建設業保証の調査(2019年度末時点)を基に首都圏1都3県の状況を分析した結果、限度額の撤廃が進んでいる千葉県や、全団体で中間前払金を導入した神奈川県に対し、東京都や埼玉県で制度改善が依然として、進んでいない実態が明らかになった。
工事の前払金は現状、工事代金の40%が支払われるが、発注者ごとに支出限度額を設定しているケースがある。例えば、10億円の工事の場合、適用率から言えば4億円が支払われるはずだが、限度額を1億円としている自治体では、残る3億円は前払金として支払われない。
首都圏の1都3県のうち、支出限度額が設定されている割合が突出して高いのは東京都だ。東京都自体が3億6000万円という上限を設けており、都内の市区町村ではそれに倣う形で、4区町村を除く団体(93.5%)が4000万円から5億円の間で限度額を設定している。
埼玉県では、県自体は限度額を設けておらず、前払金の適用金額も50万円以上からと比較的に低額の工事でも活用が可能だ。しかし、県内の自治体では、76.2%に当たる48団体で上限を設定。限度額は3000万円から2億円と、東京都に比べて低い金額が上限となっている。さらに業務の前払金制度について、限度額の撤廃以前に約半数の33市町が未導入。他都県の未導入の団体数(東京都5団体、神奈川県6団体、千葉県3団体)と比べて大きく劣後している。
神奈川県は、県での上限は設定していない。県内の自治体では、33市町村中、16市町村が上限を設けている。上限設定している自治体こそ全体の半数程度だが、限度額は3000万円から1億円と東京都、埼玉県より低い傾向だ。
千葉県は、2団体以外のすべての市町村が限度額を設けていない。
中間前払導入も埼玉県で遅れ
中間前払金制度の普及状況をみると、東京都は、都自体も導入し、都内52団体(82.3%)で活用されている。導入割合は高いものの、前払金と同様にほとんどの自治体で支出限度額を設けている。
神奈川県は、すべての自治体が中間前払金制度を導入済み。前払金で限度額を設けているが、中間前払金では限度額を設定していない自治体もある。一方で、前払金の限度額に中間前払金を含んでいる市町もみられた。
千葉県は県のほか、44団体(81.5%)が採用。前払金と同じく、上限を設けている自治体はない。
中間前払金制度の導入が最も遅れていたのは埼玉県で、採用は38団体(60.3%)にとどまった。市レベルでは普及しているが、町村では2団体でしか導入されていない。
下請企業の資金繰り対策や労働者の収入確保のため、昨年改正された公共工事品質確保促進法の運用指針においても、「支払限度額の見直しによる前金払制度の適切な運用」と「中間前金払・出来高部分払制度の活用」の記載が維持された。
新型コロナウイルスの影響長期化や流行の第2波も懸念される中で、中小企業の円滑な資金調達に万全を期す必要があり、制度の改善・普及は急務だ。
残り50%掲載日: 2020年5月28日 | presented by 建設通信新聞