建設技術者向けNEWS

　鹿島はスギウラ鉄筋（愛知県豊明市）と共同で、コンクリ―ト工事の配筋作業を省力化する「ラクラクロールマット工法」を開発した。ロール状のユニット配筋に展開用ロープを仕込み、作業員はロープを引くだけで配筋作業を完了できる。初適用した国内の土木工事では作業員の肉体的負担を軽減しただけでなく、作業時間を従来の約半分に短縮した。

　従来、配筋作業は段取り筋の設置、位置出し、運搬、間取り、結束などの作業をすべて人力で実施してきた。しかし近年は熟練作業員が高齢化し、重量物の運搬や中腰での作業姿勢は大きな肉体的負担となっていた。これを踏まえ、今回の工法はデンマークのＰＥＤＡＸ（ぺダックス）社が開発した先組み鉄筋の施工方法「ロールマット工法」を改良し、肉体的負担の軽減と高い安全性を実現した。

　「ロールマット工法」はユニット化した鉄筋をロール状に巻いた「ロールマット」を現場に運搬し、絨毯（じゅうたん）を押し広げるように展開する工法でドイツを中心に欧州で普及している。「ラクラクロールマット工法」は「ロールマット」の製造段階の鉄筋に展開用ロープを巻き込んだことで、作業員は現場でロープを引くだけで簡単に展開・配筋できる。鉄筋上の不安定な配筋作業を削減し災害リスクを低減したほか、配筋範囲全体を見渡せるため手押しの「ロールマット工法」よりも配筋精度が向上する。

　今後は建築現場への導入を進めるほか、展開方法の改善や運搬設置作業の効率化、鉛直部材鉄筋への適用などを推進する方針だ。