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素材NOW・室内のウイルス対策/存在感増す光触媒、紫外線
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【新型コロナで続々と製品・サービス】
オフィス、老健施設、幼保施設など一部の建築物の室内は、3密(密閉・密集・密接)を完全に避けることが難しい。そんな状況でも感染症リスクを低減させるべく、室内に入ってきたウイルスを不活化(感染力を失わせること)させる製品・サービスが、新型コロナウイルス流行以降、続々と提案されている。提案の中でも、存在感を増しているのが「光触媒」と「紫外線」である。
「光触媒」「紫外線」によるウイルス対策は、ウイルスを構成するタンパク質などを変成させ不活化させるという共通点がある。これにより、薬剤と異なって、どちらも遺伝子の構造変化による耐性が生まれず、効果が比較的持続する強みがある。一方、室内のどこに効力を発揮するかは違いがある。
◆表面に強い「光触媒」
光触媒は、光を浴びた際に特定の化学反応を起こすよう狙って作られた物質の総称である。太陽光に反応して屋外のテント膜屋根の黒ずみなどを防ぐ技術にも使われており、室内のウイルス対策では室内の照明でも化学反応が起きるよう改良されている。
室内のウイルス対策としては、まず建材や家具など室内の物体の表面を、光を浴びた時に化学変化し酸化力を得る物質入りの塗料で覆った後、照明を点けると酸化力が生じ、表面のウイルスなどを酸化・不活化させるという仕組みが基本となっている。JIS試験方法を採用した光触媒工業会の認証(PIAJマーク)も存在する。
具体的な製品・サービスとしては、まず建材に光触媒効果のあるコーティングを施す製品が先行した。床材ではイクタ(愛知県瀬戸市、宮田浩史社長)の複合フローリング材「エアー・ウォッシュ・フローリング」、内装用壁材では鶴弥(愛知県半田市、鶴見哲社長)の陶板壁材「スーパートライWall」可視光対応抗菌性光触媒シリーズ、また内装用塗料ではオプティマス(大阪市、高尾一美代表取締役)の「オプティマスインテリアメディカルペイント」などがことしになって発売、リニューアルされた。
そのほか、光触媒を既存建物の家具や建材に塗布するなどして抗ウイルス効果を得るサービスは、ハーツリッチ(神奈川県藤沢市、穂苅英樹代表社員)の「カビウイルスホームクリーン」、FCR(東京都大田区、渋谷弘代表取締役)の「デルフィーノ」などが4月以降に開始した。
◆空気に強い「紫外線」
物の表面に付着したウイルスに強い光触媒に対して、紫外線は空気中を浮遊するウイルスに働き掛ける。細菌やウイルスのタンパク質に吸収されやすい光を紫外線ランプから室内の空気に照射して、空気中のウイルスを不活化させ空気感染を防ぐ。
具体例としては、カナミックネットワーク(東京都渋谷区、山本拓真社長)が5月に発売した「UVCエアクリーンmanager」は、壁の高いところや天井へ装置を設置し、高さ2.1m以上の室内空間に紫外線を水平照射する。自然な空気の循環によって、浮遊するウイルスには紫外線が当たるが、人には当たらないので、人がいる環境でも稼働できる。
また、遠藤照明も5月に発売した空気循環式紫外線清浄機「エアーリア コンパクト」のように、筒型の器具内に紫外線ランプを内蔵し、器具内のファンで空気を循環させることで室内の空気にまんべんなく紫外線を照射し、人がいる環境でウイルスなどを不活化する方式もある。
光触媒と紫外線はコスト面でも異なる。規模や性能によって差はあるが、光触媒は一定期間の後には塗料などを塗り替える必要がある。例えば「カビウイルスホームクリーン」の場合、効果は約1年持続と想定される。対して紫外線は、器具の設置・更新や使用中の電力に費用がかかる。「UVCエアクリーンmanager」の場合は、ランプ交換が約6カ月に1回となっている。
残り50%掲載日: 2020年6月5日 | presented by 建設通信新聞