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日建連意見交換会総括・下/進化へ現状打破/変革を機に価値観転換/既成概念超え未来志向
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染症に伴う“新しい生活様式”への対応という「大きな波が建設業の週休2日だけでなく、i-Constructionにも打ち寄せている」(吉岡幹夫北陸地方整備局長)ことから、「社会変革が起こっているいまを好機と捉え、受発注者の考え方の違い、組織の規模といった既成概念を超えて、関係者が一丸となって知恵を絞っていくことが重要」とする日本建設業連合会の宮本洋一副会長・土木本部長の思いに、各地方整備局などの幹部は同調した。
感染症を契機として、工事現場ではウェブシステムを使った打ち合わせや遠隔臨場などが本格化している。現場作業のオンライン化を含むICTの活用は感染予防にとどまらず、従来の作業慣習からの脱却につながる。日建連の佐藤健人公共積算委員長は「われわれの世代は現場に張り付いて、しっかりと構造物をつくり込むことで価値観を見いだしてきた」ことを引き合いに、ICTの標準化がものづくりに対する価値観の転換点になり得るとみる。
ICT化の究極目標が「建設現場を製造工場に近づけること」(田中茂義公共契約委員長)である以上、コンクリート工を工場製作する規格の標準化(プレキャスト=PCa化)もICTの活用と同じ位置付けにある。PCa化については安全性や品質の向上、円滑な工程管理による工期短縮、省人化など施工上の利点が多い。
北陸整備局は積雪寒冷地で通年施工を促進するため、現場打ちとの経済性以外の項目を総合評価し、設計・施工段階でPCaの採用を判断する選定フローを独自に運用する。
日建連は以前から「北陸整備局の選定フローを水平展開してほしい」と要望しており、中国整備局は多面的な総合評価ではないものの、PCaの工期短縮効果を貨幣価値化する考え方を導入した。
また、業務効率化の足下の取り組みとして、四国整備局は書類の削減・簡素化の基本的な方針を示す「工事関係書類等の適正化指針」を作成。中国整備局は同指針を参考に「工事書類適正化の手引き」をまとめた。
コロナ禍に伴って各種ツールへの理解が深まり、働き方改革と生産性向上はさらに推進していくとみられるが、その歩みを続けることで、担い手の確保・育成は大きく前進する。
九州地区の意見交換会で「災害ボランティアが増えている」と紹介されたように、多発・激甚化する自然災害を受け、生徒や学生の社会貢献に対する意識が高まっている。災害対応を始め、国民の安心・安全を支える建設業にも関心が集まりつつあり、進化を遂げようとする建設業が魅力ある産業として広く認識されれば、若手の入職と定着が進む。さらに社会貢献という志のもと、先人たちが築き上げてきたものづくりと現場の価値をより高めていくことが期待される。
ただ、「イメージアップと担い手確保、働き方改革、生産性向上は一体不可分」(佐藤委員長)であるため、進化の過程を効果的に発信していく取り組みも求められる。
メインテーマに設定した「ブレイクスルーするための新たな展開」では、日建連が業界の持続的進化を念頭に置いた未来志向の提案を行い、多くの局長が「これまでの延長線上の取り組みだけではなく、飛躍的な発想や先を見据えた視点が必要」と発注者も受注者と同じ方向を向いていると応じた。
今回の会合では各局とも総じて前向きな施策展開を表明、これまで重視してきた情報共有の姿勢が一定の成果として表れた。また、テレビ会議の導入により直接面談との利点の違いが明らかになったが、今後はそれぞれを使い分けながら効率的に受発注者間の意思疎通を図り、より活発化させることで働き方改革と生産性向上は加速し、建設業が目指す将来像へと近づいていく。 (中川慎也)
残り50%掲載日: 2020年6月12日 | presented by 建設通信新聞