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  • 大林組、静岡大、有人宇宙システムがばく露実験/宇宙EVケーブル 損傷評価/金属系、ケイ素系で試験体

    【今夏1回目、21年夏以降に2回目帰還】

     

     大林組と静岡大学、有人宇宙システム(東京都千代田区、古藤俊一社長)は、2012年に発表した宇宙エレベーター建設構想で使用するケーブル材料用のカーボンナノチューブ(CNT)の宇宙環境ばく露実験を進めている。国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」を使った実際の宇宙空間での実験で、今夏にも1回目、21年夏以降にも2回目の試験体が帰還する予定だ。 同社の宇宙エレベーター建設構想では、軽量で高強度のCNTを長さ9万6000㎞に及ぶ宇宙エレベーター用のケーブルとして利用することを想定している。宇宙空間でのCNTの耐久性を確認するため、15年から17年に宇宙ばく露実験を実施した結果、原子状の酸素の衝突による損傷が見られ、ISSの進行方向の前面でばく露した「CNTより糸」の方が背面に配置したものより大きく損傷した。

     

     この結果を受け今回、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「簡易曝露実験装置」(ExHAM)の利用テーマとして、ISSの「きぼう」の船外実験プラットフォームを利用し、試験体をISS進行方向の前面と背面に配置した。前回からCNTに改良を加え、「CNTより糸」を金属系とケイ素系の2種類で被覆した試験体を用意した。

     

     金属系材料は、宇宙空間での耐環境性が高く、物質の放出もないため宇宙空間の汚染の心配がない。被覆の加工性にも優れ、厚さ調整や長いケーブルへの被覆も容易となっている。ケーブル重量が重くなるものの、設計条件の調整で適用できると考えている。早稲田大理工学術院と日立造船が実験協力している。

     

     ケイ素系材料は、金属系よりも軽く、加工性、柔軟性、変形追随性が優れている。人工衛星のシート状の外装材での使用実績があり、今回の実験結果によって耐用年数を予測してメンテナンス計画を立てられる。東亞合成が実験に協力している。

     

     試験体は19年夏に補給船で打ち上げられ、今夏以降に1年経過した試験体、21年夏以降に2年経過した試験体が帰還する。試験体を回収すれば、詳細な分析を進め、前回の結果も踏まえ、損傷度合いを評価する。

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    掲載日: 2020年6月12日 | presented by 建設通信新聞

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