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  • フォーカス・コロナ禍の建設業

    【生産性低下・競争激化 2つの懸念】

     

     サービス業などと比べると新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻化していなかった建設業でも、建築市場や雇用の側面で影響が広がりつつある。また、新たなコロナ対応は生産性低下にもつながりかねないほか、建設市場の大きな柱である民間企業発注の建築・土木工事でもコロナ禍に伴う景気低迷によって、設備投資意欲が大きく減退する懸念が否定できない局面を迎えた。

     

    ◆じわり雇用悪化・市場低迷

      建設市場規模を支える柱の1つ、民間非居住建築は4月の建築着工統計で前年同月比10.8%減と先月の増加から一転して2桁の落ち込みとなった。また雇用も他産業ほどの悪化ではないものの、全国の建設企業がハローワークを通じて求人する新規求人数は前年同月比15.8%減にとどまった。産業平均は31.9%減、製造業の40.3%減、宿泊・飲食サービス業47.9%減など急激に悪化している。

     

     現状の建設市場動向が端的に表れる統計として、建築着工統計調査がある。5月末に公表された4月の建築着工で全建築物の着工床面積は前年同月比11.0%減の999万㎡にとどまった。公共建築物が3カ月ぶりの増加に転じたものの建築市場の大半を占める民間建築物が11.7%減の939万㎡と2桁の落ち込みとなったことが影響した。

     

     またこれまで産業間の人材確保競争激化を示していた雇用統計でも異変が起きつつある。4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.07ポイント減の1.32倍。ことし1月から4カ月連続の減少となった。

     

     この雇用環境悪化の傾向は建設業に及び始めている。東京労働局の4月「求人・求職バランスシート」で建築・土木技術者(一般常用)の求人倍率は前年同月比2.28ポイント減の5.92倍まで低下した。企業が求める求人数が2000人以上少なくなったのが理由だ。技能労働者も同様の傾向で、例えば建設躯体も求職者数が増え求人数が230人減少した結果、求人倍率は2.78ポイント下落した。

     

     建設企業が抱く今後の不安は大きく分けて2つある。1点目は、これから本格化する熱中症対策に加え新型コロナ対応が必要不可欠な現場の生産効率低下が現場や企業に与える影響だ。業務効率を向上させ週休2日や4週8休・閉所などを発注者の理解を得ながら進める建設産業の働き方改革が、生産性低下というブレーキで遅れかねない。

     

     2点目は、2008年のリーマン・ショックを乗り越え、グローバル化、デジタル革新、地域とのかかわり重視などさまざまな経営戦略に基づいて経営基盤強化が進みつつある個社の経営悪化懸念だ。建設企業の経営基盤強化が進んでいる最大の理由は、公共事業量と旺盛な民間企業の設備投資という市場規模増加・維持に加え、適正な利益を確保できる環境にあるからだ。公共事業については実勢にあった単価改定が、民間建築工事でも着工床面積そのものはリーマン・ショック前まで水準が戻らなくても、過去最高の利益額を生み出せるまでに環境は改善した。

     

     しかしリーマン・ショックを経験した元請け、下請け各社はいま、バブル崩壊後やリーマン・ショック後に起きた、採算を度外視した熾烈な価格競争(ダンピング)に強い警戒感を示している。

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    掲載日: 2020年6月12日 | presented by 建設通信新聞

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