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Project・渋谷駅改良第2回線路切換
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>JR東日本が進めている渋谷駅改良工事(東京都渋谷区)の山場として、5月29日から6月1日に実施した大規模な線路切り換えでは、工事桁をこう上し、横移動させ、レールを敷設し直すという、類を見ない工事を54時間で一気に完了させ、懸案だった埼京線新ホームが山手線ホームに並列化する形で供用を開始した。同工事の合意形成、工事着手を含め、要所で携わっている同社建設工事部大規模開発プロジェクトの新関信次長は今後の山手線ホーム拡幅に伴う切り換えなどを見据えつつ、「鉄道施設の大規模な移設を伴う工事は、今回の切り換えで1つの節目を迎えた」と語る。
【人と組織と技術 結実の極致/一気に工事桁をこう上・横移動/JR東日本】
2015年9月に着手した渋谷駅改良工事では、合計4回(4線)の線路切り換えを計画。新関次長は「非常に狭隘(きょうあい)な空間で、周りの工事も輻輳(ふくそう)している施工条件下、仮線を敷設して構造物を構築する通常の線路切り換えは、スペースがないこともあったが、とくに工期が長くなることが想定されたので難しい。そこで、一気に最終設計の形になる線路切り換え手法を採用した」と説く。
第1回切り換えは18年5月、埼京線上りを東側新設高架橋に切り換え、埼京線新ホームのスペースを生み出した。埼京線下りの切り換えとなった今回の第2回切り換えは、切換延長709mのうち、422mにわたり、あらかじめ敷設した工事桁47連を最大で約1.3mこう上、約2.6m横移動させた。「工事桁そのものをこれだけの延長にわたって、元の位置から斜め方向の位置に移動させたことになる。鉄道はこのような動きが本来苦手なので、さまざまな点で技術的に工夫した」と語る。
さらに「失敗するわけにはいかないので、リハーサル、試験施工を幾度も実施した。各工区の施工会社のヤードで作業員を変えながら入念に実施し、作業員全員に経験を積んでもらい、本番を迎えた」。今回の切換工事は最大で900人が作業に従事した。1996年の埼京線ホーム建設から20年余。先人たちの思いを胸に、人と組織と技術を結実させ、時空を飛び越え「遷駅」を成功させた。
コロナウイルス禍における工事となったが「お客さまに喜んでいただき、安全・安心に利用いただくためにも、予定どおり『やらねばならぬ』と関係者全員が同じ意志のもと、一丸となって実行した。感染防止対策などを徹底しながら、携わった施工関係者の尽力協力のおかげで計画どおり遂行でき、国道246号拡幅も含めた渋谷駅周辺整備に貢献できた」と感謝の意を示す。
渋谷改良工事の全体完成は27年度を予定。総工費は約750億円を見込む。工事区間を3工区に分け、北工区を鹿島・清水建設JV、中央工区を大成建設・東急建設JV、南工区を鉄建建設・東急建設・東鉄工業JVが担当している。
残り50%掲載日: 2020年6月16日 | presented by 建設通信新聞