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業績への影響 小幅の可能性/動き出す海外工事
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け止まっていた海外の建設工事が徐々に動き出し始めている。大手・準大手ゼネコンの2021年3月期業績で海外事業が大きな打撃を受けると見込まれていたものの、世界的に感染防止対策と経済活動を両立する流れが広がり、早期の活動再開が見え始めたことで、業績への影響を当初より小幅でとどめられる可能性が出てきた。業績発表見送りの企業でも、海外の一部での経済活動再開を受けて21年3月期の業績予想を発表した。
◆感染防止対策と経済活動両立で再開
大手・準大手ゼネコン各社は、21年3月期の業績予想について、発表を見送った企業が多かったほか、見通しを示した企業も受注・売上・利益で前期比減を予想する企業が多かった。国内事業は、公共事業の発注が堅調な上、大型再開発事業なども需要が豊富で底堅く、「影響は限定的」との見方が広がっていた。一方で海外については、シンガポールや米国で経済活動が長期間ストップし、工事の再開見込みが付かないことから、業績に大きな打撃を与える可能性があるとみられていた。
ただ、世界的に感染防止対策と経済活動を両立する動きが広がり、各国で工事が徐々に再開している模様だ。大手ゼネコンの土木部門幹部は、「シンガポールとバングラデシュは厳しい状況だが、米国では徐々に動き出しており、台湾も含め工事発注が出ている。特に大規模インフラの工事を中断する動きは少ない」と大きな影響には発展しないとの見方を示した。さらに、中断期間が長期間に及んでいるシンガポールでも、経済活動を再開し始めたことは、大手・準大手ゼネコンにとって朗報となりそうだ。
21年3月期の業績予想の発表を見送っていた東亜建設工業も、「海外でも一部の地域で経済活動再開の動きが広がるなどの状況変化」を理由に22日に発表した。「一部中断中の工事についても、地域による差はあるが、下期にはおおむね施工可能になる」と仮定した。特に海外の売上高は、工事中断の影響はあるものの、繰越工事が前期比で大幅に増加した中で、前期比10.9%増の320億円を確保できる見込みだ。
◆セメント輸出販売量徐々に回復傾向に
セメント協会が18日に公表したセメントの輸出販売量も、5月単月ではASEAN(東南アジア諸国連合)地域への輸出がゼロとなるなど、大きな影響を受けたものの、「地域によって濃淡はあるが、オーストラリアも 通常の6割程度にまで戻ってきた。中国でも経済が再開して5月の輸出量が既に大幅増となった。オセアニア地域でも徐々に回復傾向にある」とした。
海外との人の往来はまだ制限されており、第2波・第3波も懸念される状況で予断は許さないものの、徐々に工事が再開し始め、ゼネコン各社の業績にとっては追い風となりそうだ。
残り50%掲載日: 2020年6月24日 | presented by 建設通信新聞