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  • 連載・前例なきコロナ対応 第1Qを振り返る(中)

    【東京減も大阪府は件数維持/感染対策、経済不安の影響/大規模事業失速も懸念】

     

     東京都で2020年度第1四半期の工事開札件数が4割近く減少する中、他の多くの地方公共団体は新型コロナウイルス感染症対策に留意しつつも例年どおりの執行体制維持に努めているようだ。

     

     比較対象として調べたのは、関西経済圏を代表する大阪府だ。大阪府電子調達(電子入札)システムで19、20年の4-6月期開札日ベースの件数を見ても、「工事」「測量・建設コンサルタント等」ともにほぼ横ばいとなっている。

     

     府担当者は「工事現場では新型コロナ対策を講じた上で工事を実施しており、現在も今後も、発注に抑制はかけない」としており、方針は東京都と対照的だ。他の自治体でも急激な減少は見られない。

     

    ◆“3密”防げ 自治体職員奔走

     

     一方、公共工事の発注件数にとどまらず、新型コロナは大型プロジェクトの進捗にも確実に影響を与えている。

     

     「60者の個人地権者のほとんどが高齢者で、一堂に会すことへの不安が大きい。適切な予算執行に向け、一刻も早く住民説明会を開催したいが…」。再開発事業を支援する地方都市の自治体職員は、苦渋の胸の内を明かす。不燃化や駅前の基盤強化を目指す開発事業の場合、理解を求めるべき権利者は高齢の場合が多い。

     

     新型コロナに感染した高齢者の重症化が各メディアで報じられる中、多くが公民館の一室や会議室を会場とする説明会では、感染リスクをゼロにすることは困難だ。

     

     東京都による京浜急行本線立体交差事業について、都、品川区、鉄道事業者が予定していた用地補償に関する説明会は、資料送付による書面開催とすることが決まった。

     

     区議会常任委員会で区は「まずは資料で基本的なことを知ってもらい、8月以降に個別説明を行う」。ただ、議員からは「郵送では見落とす可能性がある」「ただでさえ複雑で理解しにくいとされる行政資料を高齢者の多い一般家庭に配布して、十分な理解が得られるのか」と懸念の声が上がった。

     

     対策を講じた上で説明会を開く自治体もある。目黒区は6月2日、自由が丘駅前の再開発事業について説明会を開いた。練馬区でも石神井公園駅前再開発の都市計画原案に関する説明会を7月中旬の4日間にわたり開催する予定だ。どの自治体も適切な座席配置、会場の常時換気、ドアノブやいすの消毒、飛沫感染防止のビニールシート設置など「新しい生活様式」に対応した安全管理に取り組む。

     

     「自由が丘駅前の初弾となる再開発で、住民の関心が高い」(目黒区)、「説明会はしっかり行うべきという区としての判断」(練馬区)など、事業推進に不可欠な住民理解の機会を逃すまいと奔走する自治体の苦心が見える。

     

     東京都以外を見ると、経済の先行き不透明感から事業を停止するなどの措置が相次いでいる。神奈川県南足柄市では、土地区画整理事業の業務代行予定者選定手続きが中止された。事業者からの提案がなかったためで、エンドユーザーとなる立地企業の、経営状況への不安感も垣間見える。

     

     また、熊本市は5月、市役所本庁舎の建て替えや市電の延伸などの大型事業を一時中断する方針を固めた。新庁舎基本計画策定支援業務の公募型プロポーザルも途中で中止した。6月に入ってから静岡市も、庁舎の移転新築、海洋文化施設など3つの大型建設事業を停止すると表明。いずれも「コロナ対策の財源確保」を狙いとした動きだ。

     

     影響は大型案件にとどまらない。夏休み期間の短縮などにより、地域建設業や専門工事業が担う学校施設の改修工事などにも影響が出始めている。

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    掲載日: 2020年7月7日 | presented by 建設通信新聞

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