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  • 総力挙げ“流域治水”に転換/水系ごとの全体像 2020年度内に策定/防災・減災主流の社会実現/国交省

     国土交通省は6日、総力を挙げて防災・減災に取り組む新たなプロジェクトを決定した。流域のあらゆる関係者が協働して治水に取り組む流域治水への転換などを進め、防災・減災が主流となる社会の実現を目指す。全国の1級水系を対象に、流域治水の考え方に基づいて関係者が早急に実施する取り組みを今夏までに中間的に取りまとめ、水系ごとの全体像を流域治水プロジェクトとして2020年度内に策定する。

     

     同日、防災・減災対策本部(本部長・赤羽一嘉国交相)を開き、「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」を取りまとめた。赤羽国交相の強いイニシアチブの下で進める「大臣プロジェクト」と位置付けている。全部局が連携し、国交省の強みである現場力を生かして、「命と暮らしを守る」をスローガンに施策を展開する。

     

     対策本部で赤羽国交相は、「国交省だけでなく、他省庁、地方自治体、企業、国民一人ひとりの力を結集し、さまざまな分野で防災・減災の視点を定着させ、防災意識を向上させていくことが重要だ」と力を込め、防災・減災が主流となった社会の実現に向けて自らがプロジェクトを主導する姿勢を示した。

     

     柱には、▽あらゆる関係者により流域全体で行う流域治水への転換▽気候変動の影響を反映した治水計画などへの見直し▽防災・減災のための住まい方や土地利用の推進▽災害発生時における人流・物流コントロール▽交通・物流の機能確保のための事前対策▽安全・安心な避難のための事前の備え▽インフラ老朽化対策や地域防災力の強化▽新技術の活用による防災・減災の高度化・迅速化▽分かりやすい情報発信の推進▽行政・事業者・国民の活動や取り組みへの防災・減災視点の定着--の10本を設定した。

     

     流域治水は、企業や住民などを含めた流域のあらゆる関係者が「氾濫をできるだけ防ぐ」「被害対象を減少させる」「被害の軽減、早期復旧・復興」の3つの対策を総合的・多層的に推進し、流域全体で治水に取り組む考え方。

     

     この考えに基づき、戦後最大の洪水を安全に流すことを目標に、1級水系で流域治水プロジェクトをまとめ、堤防整備や河道掘削、雨水貯留施設の整備、土地利用の規制・誘導、水位計・監視カメラの設置などハード・ソフト一体の事前防災を加速する。流域治水の円滑化に向けて河川関連法制も見直す。

     

     あわせて、河川、下水道、砂防、海岸の計画・設計基準を気候変動による降雨量の増加、潮位の上昇などを考慮したものに見直し、流域治水に続く第2ステージとして気候変動の影響を反映した抜本的な治水対策を進める。

     

     改正都市再生特別措置法や改正都市計画法の施行に合わせ、防災・減災を考慮した住まい方の工夫や土地利用を推進する。その一環として、避難施設、備蓄施設、貯留施設、浸透施設の整備など水災害対策を講じる都市開発プロジェクトを対象に、容積率を緩和する制度を今夏までに創設する。

     

     安全・安心な避難に向けては、高台まちづくりを推進する。ゼロメートル地帯の高台と施設を通路で接続し、大規模な浸水が発生した場合に、建物から浸水区域を経由しないで安全に避難できるようにするもので、東京都と検討している具体の取り組みを20年内に取りまとめる。

     

     インフラの老朽化は災害リスクを増大させることから、インフラ長寿命化計画(行動計画)を20年度内に改定し、予防保全への本格転換を打ち出す。災害予測や災害状況把握、災害復旧、被災者支援へのAI(人工知能)活用や、インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進など、新技術と防災・減災の組み合わせにも取り組む。

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    掲載日: 2020年7月8日 | presented by 建設通信新聞

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